日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

一猿一鶏をしたがえる青面金剛の庚申塔 大分県蕨野(わらびの)

場所:大分県大分市岡川蕨野(わらびの)

座標値:33.171115,131.587960

以前にご紹介した記事(三猿だけが刻まれるめずらしい庚申塔 大分県大分市蕨野(わらびの))でご紹介した庚申塔を探した帰り道のこと。もうひとつ偶然にも、もう一基庚申塔を見つけることができました。

 

その庚申塔は「三猿だけが刻まれる庚申塔」が祀られていた日枝神社から北へ320mほどの場所にありました。↓下の写真のように信号のない小さな交差点の一角に、石の祠のなかに祀られていました。

一面六臂(いちめんろっぴ)の青面金剛像が主尊で、青面金剛の両脇には二童子が刻まれています。おそなえされている花で見えにくくなっていますが、青面金剛の足元には一羽の鶏と一匹の猿が横向に刻まれています。鶏と猿はおたがい向き合っています。

↓庚申塔に向かって右側面には「明和二」という文字が見えます。庚申塔の側面と、祠の壁との距離が近かったのではっきりと確認することができなかったのですが、おそらく「明和二 乙酉 天」と刻まれていると考えられます。「乙酉」は明和二年の干支である「きのととり」です。

↓庚申塔に向かって左側面には「月吉日 願主 八平」と刻まれているようです。「〇月」の部分は石が欠けているので、確認することができませんでした。

造形がはっきりとしており、細部まで細かく像が刻まれた庚申塔だと感じました。

六が岳 山頂 福岡県鞍手町

場所:福岡県鞍手町大字室木 六ヶ岳山頂

座標値:33.7479948,130.6812142

2019年3月26日に、福岡県鞍手郡にある六ヶ岳に登ったときの写真です。写真を撮りながら登り、登山口から山頂(339m)まで約45分。天気ではありましたが、かすみがかっていて遠くまでは見通せませんでした。

 

六ヶ岳は、その名前のとおり6つの峰があります。それぞれの峰に、羽衣とか天冠など、六ヶ岳に伝わる神話にちなんだ名前がつけられているようです。

 

中央よりやや左側遠方に、かすかに見える山が北九州市の最高峰である福智山。地図で測ってみると、六ヶ岳山頂(338.9m)から福智山山頂(900.6m)まで、直線距離にして11.4㎞ほどです。福智山は予想以上に遠い場所にあるのですね。福智山のふもとに広がっているのが直方市(のおがたし)の町です。

 

今の時期、六ヶ岳山頂からだと、ちょうど福智山山頂の左側あたりから日の出がみられるようです。空気の澄んだ日だと、福智山から登る朝日はとても美しいので、六ヶ岳山頂から、いつか朝の景色を撮ってみたいものです。

六ヶ岳登山道 福岡県鞍手町

鞍手郡と宮若市にまたがる標高338.9mの六ヶ岳(むつがたけ)。宗像三女神が降臨したという神話が残る山なので、以前から登ってみたいと思っていました。鞍手郡側から登るルートでは、往復で約1時間とちょっとの登山。平日の登山でしたが、数組のかたとすれ違いました。あまり登るかたはいないのかな…という予想とは反しました。

 

山頂からの展望はすばらしく、360°周囲を見渡すことができました。鞍手、直方、八幡を一望できました。登りやすい山だったので、写真を撮りにまた登りたいです。今回の写真は登山道(8合目くらの場所)で撮ったものです。木漏れ日が登山道にふりそそぎ、幻想的であったので、久しぶりに三脚を立てて撮りました。F値は16と絞り込み、シャッター速度は1/10秒と比較的遅く設定。三脚を使うと、やっぱりすみずみまでピントがしっかりと合うのですね。あらためて丁寧に写真を撮ることの大切さを感じました。

 

場所:福岡県鞍手町大字長谷

座標値:33.749036,130.680907

三猿だけが刻まれるめずらしい庚申塔 大分県大分市蕨野(わらびの)

先日、大分市へいく用事がありました。用事を済ませ、福岡の自宅に帰るまでにまだ少し時間があったので、一か所だけでも…と、大分市内の庚申塔を探してみることにしました。

 

大分県内の庚申塔をまとめた『大分県の庚申塔』というサイト(↓)を参照し、近い場所でめずらしい庚申塔がないか探してみたところ、蕨野(わらびの)という地区に三猿を主尊とするめずらしい庚申塔があることがわかりました。

 

http://5.travel-way.net/~niemon/ooita/ooitasyomen.html

 

実際にいってみて確認してみたところ、目標とする庚申塔はすぐに見つかりました。日枝神社参道入口。灯篭が参道両側に立っていますが、その灯篭をすぎてすぐ右側に3つの石塔があります。そのうちのひとつが庚申塔です。↓下の写真は反対側から写したものなので、参道の左側に庚申塔が写っています。

場所:大分県大分市岡川蕨野 日枝神社

座標値:33.1685696,131.5869904

 

↓庚申塔は板状のもので、将棋の駒のような形となっています。情報どおり三猿が刻まれています。三猿は「みざる いわざる きかざる」のしぐさをとっています。

真ん中の猿の右側に「甲申塔」という文字が刻まれています。刻まれている文字はこれだけで、側面にも背面にも文字は見あたりませんでした。よって建立年月などの詳細はわかりません。

 

このように猿だけが刻まれている庚申塔は、以前なにかの本で見たことがあります。自宅へ帰ってから、手元の資料を調べてみるとありました。

 

 

庚申塔の研究 (清水長輝著)のP143「主尊としての猿」という項に紹介されていました。その庚申塔は「東京都大頭区浅草芝崎町3丁目 万竜寺」に祀られているとのことです↓

万竜寺の庚申塔と、日枝神社の庚申塔は猿の配置がとてもよく似ています。庚申塔の研究 (清水長輝著)のP143では、庚申塔に猿が刻まれるようになった経緯が紹介されています。その内容を箇条書きでまとめてみます↓

 

・江戸時代初期に猿があらわれるようになった

・その後、3猿となった

・1662~1681年に猿を庚申塔の主尊として扱うようになった

・1猿を主尊とするものも現れてきた

 

同書には”猿を主尊として扱ったのは、初期の三猿に引き続いて、寛文、延宝(えんぽう)ころの古いものに多い”とあります。寛文、延宝は西暦でいえばいつごろなのか調べてみると、1662年から1681年ごろとわかります。この時期よりも古い時期に三猿が庚申塔に刻まれていたことが、本文からは読み取れます。

 

ということは、大分県の日枝神社にあるこの庚申塔↓は、1600年代という古い時期(庚申塔初期)につくられたものなのかもしれません。 

釈迦三尊像のように、猿が仏様の代わりに三尊形式で刻まれている庚申塔に出会えました。とてもうれしい体験でした。

 

幸神社 さいのかみ?こうしん? 猿田彦大神と関係がある? 福岡県直方市植木

「幸神社」とは、なんとも珍しい名前の神社があるものだと、訪ねてみることにしました。場所は福岡県直方市の植木という地区です。「幸神社」は「さいのかみのやしろ」とか「さいじんじゃ」とも呼ばれているようですが、福岡県直方市植木にあるものは「こうじんじゃ」という呼び名ではないかと勝手に想像しています。

 

場所:福岡県直方市植木

座標値:33.784188,130.707698

「幸神社」というからには「さいのかみ」…つまり猿田彦大神に関わる神様がまつられているのではないかと思ったのが、この神社へいこうと思ったきっかけでした。

 

福岡県北九州市八幡西区の黒崎には「幸神」という地区があります。そこには「幸神」という地名どおり、「さいの神様」が祀られています。黒崎は長崎街道がとおっていて「さいの神様」は旅の安全を守ったり、道しるべの神様として祀られていました。道しるべの神様として有名なのが猿田彦大神。

 

そういうわけで、直方市植木にある幸神社にも猿田彦大神にかかわるものがあると考えたわけです。猿田彦大神にかかわるものといえば、もしかしたら庚申塔も祀られているのではないか?

実際にいってはみたものの、境内には庚申塔らしき石塔はみあたりませんでした。しかし、拝殿の奥に二基の石塔が祀られていました。

石塔の風化ははげしく、表面に刻まれている文字は一部分しか確認することができません。でももしかしたら、これらのうちに、もともと猿田彦大神として祀られていたものが含まれているのかもしれません。

二基の石塔に向かって左側の石塔にはわずかに文字が確認されます。また石塔のかたちからも庚申塔の可能性が高い印象をもちます。