日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

秋芳洞のみどころ⑤/⑪ 洞内富士

秋芳洞正面入口から約400mの場所。これまでの行程は、いかにも洞窟という感じの細く長い穴を歩いてきました。細いといっても洞窟の幅はおよそ35mもあるので、狭いという感じはありません。

 

正面入口から400mほどの場所は広い空間となっています。そのために「広庭」と呼ばれているようです。看板も立っていました。その広庭に「洞内富士」という巨大な石柱ができあがっています。下の写真がそれです↓

一歩ひいて周囲の風景も取り入れて写真を撮ってみると、下の写真のようになります↓

この洞内富士も、前回にご紹介した百枚皿と同様に、なかなかのスケール感でした。百枚皿とはまったく別のしくみで、この洞内富士はできあがったようです。

 

洞内では天井のあちこちから地下水がポタポタと落ちています。この雫のなかに土が含まれています。土が長い時間をかけて堆積したものが石筍(せきじゅん)といいます。地面からにょきにょきとタケノコが生えたような石の柱のことです。

 

これがさらに成長すると、おそらくこんな形になります。天井からの石柱と、地面からの石柱がくっついています。

さらに成長がすすむと一本の柱になります。さらに長い年月が経つと洞内富士のような巨大な山となると考えられます。洞内富士は秋芳洞内最大の石柱です。

 

洞内富士はどれくらい前からでき始めたのか?洞内富士が乗っている土台は広庭です。さらにこの広庭は約1万年前に溜まった土砂の土台に乗っています。そのため洞内富士は1万年よりも新しい時代にできはじめたと考えられています(参照:秋芳洞の自然観察P10)

 

いまでも洞内富士には地下水が流れてきていて、成長していると考えられます。地下水はどんどん流れ、洞内富士周囲には南瓜岩(かぼちゃいわ)、大松茸(おおまつたけ)、笣柿(すぼがき)などのユニークな名前がつけられた自然の美術品がならんでいます。

 

南瓜岩(かぼちゃいわ)↓

大松茸(おおまつたけ)↓

笣柿(すぼがき)↓

 

これまで(入口→青天井→長淵→百枚皿→洞内富士)と見てきました。百枚皿と洞内富士の間には、秋芳洞のなかではもっとも狭い「関門」があるそうです(参照:秋芳洞の自然観察P10)。

 

関門とはどういう意味なのでしょう?”洞窟が一か所だけ狭くなっている場所”という意味ではないかと想像してみます。自分の撮った写真を見返してみると、たしかにそういう場所がありました。

↑これは千枚皿から洞内富士方向を眺めた場面です。たしかに突発的に一か所だけ洞窟が狭くなっています。どうしてこんな地形ができたのか、明確な答えはわかりませんが、もしかしたら、地下水の溶食のしかたが、この場所だけ他の場所とは違っていたのかもしれません。あるいは、石の性質が他の場所と違っているのかもしれません。

秋芳洞のみどころ④/⑪ 百枚皿 どうしてできた?カギは石灰分

百枚皿は秋芳洞のなかでも、最も有名な名勝ではないでしょうか。まだわたしが小学生のころ秋芳洞に来た覚えがおぼろげにあるのですが、この百枚皿の景色だけははっきりと覚えています。それだけこのすばらしい地形は、わたしに衝撃を与えてくれました。

場所:秋芳洞正面入口から約300m

 

『秋芳洞の自然観察』(秋吉台科学博物館)P9では、このふしぎな光景がどのようにしてできたか、説明されています。説明文はなかなか難しいのですが、わたしなりに簡単に書き直すと以下のようになるのではないでしょうか。

 

約1万年前、洞窟内に礫や土が堆積していた

・洞窟奥にたまっていた水が、礫や土の上に流れてきた

・水は少しずつ流れてきた

・水は常に流れてくるものではなく、水たまりとなった

・(水が入る⇔乾燥)を繰り返した

・水たまりに含まれる石灰質が端からだんだんと溜まっていった

石灰質の壁が水たまりの端からできあがってきた

 

カギとなるのは、石灰質のようです。地下水に含まれる石灰質が水たまりの周辺部分から、徐々に固まり高くなりお皿のようになったのですね。これが一か所ではなく、何か所もの場所で起こり下の写真のような光景ができあがったのでしょう。

現在は地下水が、この百枚皿の場所へ適度に流れこんでいるために、皿のなかに地下水が溜まっているのですね。でもだんだん地下水位がさらに低くなり、かつ、皿の縁のたかさが成長し高くなってしまうと皿のなかに水が溜まらなくなってしまうでしょう。

 

水が溜まらなくなると、皿の縁もこれ以上は成長することはなくなります。この光景がみられるのは恒久的ではないのでしょうね。この景色が見られなくなるのは、数百年先か、数千年先かはわかりません。

約1㎞の行程。まだ300m付近です。まだまだ秋芳洞探検は続きます。

秋芳洞のみどころ③/⑪ 青天井から長淵

秋芳洞(山口県美祢市秋芳町秋吉秋吉台)の正面入口からはいるとすぐに、とても広い空間が現れました。ここは青天井と呼ばれる場所です。この広い空間の幅は35m、高さは25mあるといいます(参照:秋芳洞の自然観察 秋吉台科学博物館) 洞窟にはいって、いきなり圧倒される景色が広がりました。

入口から洞窟の奥にむかって遊歩道を進むと、右側に広い川が流れています。どうも深い川ではなさそうで、みたところ足首、膝くらいの深さのようにみえます。そして遊歩道左手側には、下の写真のような天井の高い空間が広がっています。この写真が青天井をアップにして写したものです。

人の姿など大きさの対象となるものがないので、洞窟のスケールがなかなか伝わりにくいです。

 

青天井の名前の由来は、洞窟入口から入ってくる光が、流れる地下水に反射して青く色づくことからつけられたそうです。

 

↓こちらの写真は、さらに奥へ進んだ場所。長淵と名付けられた場所です。

↓下の写真は、これまで来た道を振り返ったところで写真を撮りました。静かに流れる水に岩壁が映り込み、まるで巨大な鏡のようです。この岩壁をよく見てみると、岩壁の上のほうが階段状になっています。これはどうも河岸段丘のように、川の水(地下水)が昔、浸食した痕のようです(参照:秋芳洞の自然観察P8)

段丘は、ゆるやかな地下水が、水量の少ない時代に作ったもののようです。

 

一方、水量が多かった時代、岩壁がえぐり取られた部分はノッチと呼ばれます。ノッチというのはどんなものなのか、私ははじめてみるものなので、なかなか判別しにくいです。

 

ノッチを他サイトで画像検索してみても、これがノッチというのはなかなかみつけにくいです。凹っと穴がほげたものや、水平方向へ段丘のようになったものなどがノッチとして紹介されています。いずれにしてもある一定期間、安定した水量で岩壁が削られ窪みになった部分がノッチと呼ばれているようです。

 

おそらく下の写真の岩壁に水平方向へくぼみができている部分。このくぼみがノッチではないかと思います。

ここまでの行程は、入口から約100mほど。観光客が歩ける箇所は約1㎞。まだまだ秋芳洞は奥へとつづきます。

秋芳洞のみどころ①/⑪ 正面入口の形は地下水が流れた痕?

秋芳洞に入る前に出迎えてくれる立派な洞口。この入口の形は縦長の独特な形をしています。今回の記事では、駐車場からこの秋芳洞口(正面入口)へ至る道周辺の景色と、この洞口がどうしてこんな形になったのかをご紹介したいと思います。

場所:山口県美祢市秋芳町秋吉秋吉台(Google マップ

 

駐車場から正面入口まで、おみやげ屋さん、食事処などが立ち並ぶ商店街をぬけていきます。どこの駐車場からも、およそ10分もあれば秋芳洞正面入口までたどりつけます。

こちらが商店街の様子です↓ 朝の10時前で雨もふっていたので、観光客はまばらです。秋芳洞自体は朝の8時半から入洞することができます。まだ閉まっているお店もありましたが、私たちが帰る時間(11時すぎ)には、おおよそのお店が開店していました。

商店街のいちばん奥に秋芳洞正面入口がみえてきます。ちなみに私たち家族は、下の写真の左側…ソフトクリーム屋さんで、帰りがけにソフトクリームを購入しました。店内にテーブルとストーブが用意されていたので、温かい部屋でゆっくり食べられました。

秋芳洞の受付をすませ遊歩道に入ると、すぐ左手に洞内からの清流をみることができます。川の水は透きとおっています。

秋芳洞の入口に近づくにつれ杉の樹が多くなります。杉の樹々は苔むしており、なんとも美しい景色です。よくよく周囲の自然を観察してみると、転がっている石にも苔がびっしりとついています。

↓こちらは秋芳洞入口から商店街方向をふりかえった風景です。夏はとても涼しいでしょうね。でも春先の現時点ではとても寒いです。

秋芳洞入口からぬけてくる湿った風が、入口周辺を潤し、苔が繁茂できる環境をつくっているのではないかと思います。↓こちらがその秋芳洞(正面)入口です。鍾乳洞の入口ふきんに小さな滝が見えます。これは三段になっており、それぞれ一の淵、二の淵、三の淵と呼ばれるそうです。

滝を遊歩道から見おろしたところです↓

この地下水が洞口を作り出してきたそうです。秋芳洞が誕生した初期の頃は、今の入口よりも高い場所に開口していました。時間がたつにつれて地下水位がさがるとともに、集まってくる地下水の量も多くなってきました。

 

多くなってくる水量に応じて、開口部も広く削られてくるようになりました。だから、秋芳洞入口の形は縦長の三角形のようになっているようです。↓こちらの写真は正面入口から少し洞内へはいった場所です。左側下方5mほどのところに地下水が流れています。

以前はこのぽっかりと開いた穴の部分に地下水が流れていたと思われます。地下水が石灰岩を下へ下へと削っていったのでしょう。ちょっと右にカーブしているのは、川の流れが一時期右側に逸れたのでしょうね。

 

秋芳洞入口から出てすぐの淵です。この淵の水はなんとなく白っぽくなっているのがわかります。これは石灰分が溶けだしたものと考えられます。

これまではだんだんと削られる傾向であった秋芳洞内の淵ですが、いつのころからか、淵周辺には石灰分が沈積するようになっているそうです。だから洞窟内の淵の高さはだんだんと高くなっています(参照:『秋芳洞の自然観察』(秋吉台科学博物館)P7)

 

秋芳洞(あきよしどう) 寒い時期だと人が少なくゆっくり観光できました 今回は駐車場について

2019年3月3日(日)は福岡県は一日中雨の予報でした。雨の日でも楽しめる場所はないか…と考えていると、以前から行ってみたかった、秋芳洞(あきよしどう)が候補としてあがりました。秋芳洞は山口県美祢市(みねし)にある鍾乳洞です。

 

以前、夏にいちど車で秋芳洞ふきんまで行ってみたのですが、たくさんの人がいて駐車場もいっぱい。観光するのは躊躇してしまいました。暑い時期には鍾乳洞は人気なのですね。寒い時期だと、日曜日でもひとはまばら。駐車場もたくさん空いており、ゆっくりと観光することができました

 

場所:山口県美祢市秋芳町秋吉秋吉台(Google マップ

 

入場料金は大人1200円と、一見料金が高いように感じますが、鍾乳洞内を見学させていただくと、「高い」という感じはなくなります。洞内の観光コースは約1㎞。4歳の子どもを連れている私たちの場合、往復すると1時間10分かかりました。鍾乳洞内は日常みることができない風景がたくさん広がっており、大満足の1時間でした。

 

ちなみに、JAF会員証を提示すると100円引いてくれ、小学生未満の子どもは無料です。

足元のわるい場所もありますが、コースのほとんどの場所は下の写真のような歩道がつくられています。正面口から約400mはフラットな遊歩道がついているので、車いすに乗られているかたでも見学ができるようです(参照)。

 

 

どこに駐車した?

秋芳洞には入口は三つ(正面口、黒谷口、エレベーター入口)あります。わたしたちは「正面口」からはいりました。正面口だと、周囲には100円(個人経営)から400円(市営駐車場)まで、たくさんの駐車場がありますが、100円駐車場も寒い時期だとガラガラでした。わたしたちは洞口荘さんの駐車場に停めさせていただきました。

 

洞口荘100円駐車場(Google マップ)

場所:山口県美祢市秋芳町秋吉3404

google mapのストリートビュー↑

 

手前に駐車スペースに5台ほど停められ、さらに私たちが観光を終わって帰ってくると、洞口荘の前にも3~4台車が停められていました。とても人気の駐車場のようです。

 

車を停めると、洞口荘から男性がでてくるので、この方に100円を手渡したらOKです。オーナーさんはとても親切な方で、駐車場から秋芳洞入口までの近道なども教えていただきました。なにかの商品の売り込みなどもありませんでした。秋芳洞入口まで歩いて7分ほどでした。

 

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洞内はみどころがいっぱいなので、ぼちぼちと記事にしてゆきたいと思います。