珍しい「波乗り兎(うさぎ)」の石像があるという情報を得て、探しに行ってみました。場所は福岡県福津市にある波折神社(なみおりじんじゃ)です。
場所:福岡県福津市津屋崎
座標値:33.7907753,130.4618835
波折神社には広い駐車スペースがあるために、車での参拝でも心配はありませんでした。神社境内に入り本殿に向かって右側に進んだところに「波乗り兎」は祀られていました。
どうして兎が波に乗っている?
しかしどうして波乗り兎なのでしょう?その由来を調べてみると、福岡県からずっとはなれた滋賀県の琵琶湖に関係があることがわかりました。
琵琶湖の北部に竹生島(ちくぶじま)という小さな島があるそうです。Google mapで調べてみると、確かにありました。
この竹生島を舞台にした、そのままの名前の『竹生島』という能の謡曲があるそうです。そのなかで以下のような句が残っています。
”緑樹影沈んで 魚木に登る気色あり 月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか 面白の島の景色や”
これをわたしなりに現代語訳してみると次のようになりました。
”湖面に樹木が映り、魚が木に登っているようです。月も湖面に浮かび、月のうさぎも波をかけているようです。なんて趣のある島の景色でしょう”
この句は朝廷に仕える人たちが竹生島へ参拝に行くとき、翁と海女の乗る釣り船に同乗させてもらったときに読んだ句といわれています。つまり、静かな月夜の琵琶湖で船にのり、船上から竹生島の岸辺を眺めて読んだ句なのでしょう。
この句の「月の兎が波をかけている」という情景が「波乗り兎」へとつながるのだという説があるようです。(参照:波ウサギの由来 謡曲『竹生島』)
https://www.iris-hermit.com/ranking/jpg/tikubusima.html
さらに兎が子沢山である特徴から、子孫繁栄や豊穣をもたらすめでたい瑞獣(ずいじゅう)とされていること。さらに波と水がつながり、火除(ひよけ)の守りと云われることからも、波乗り兎の像がいろんな場面で使われることになったことも示唆されています(参照:沢井 八幡神社の「波乗り兎」)
http://www9.plala.or.jp/sinsi/07sinsi/fukuda/usagi/usagi-4.html
珍しい波乗り兎の像は、ここ波折神社だけで祀られるものではないようなのです。たしかな情報ではありませんが、たしか福岡市の住吉神社にもあるとのこと…。また機会があれば行って探してみたいと思います。