「下手でもいい」と、ハードルを低くして楽しんできたことが、ここまでつながってきたんだと思います。
『私には山がある』(田部井淳子 著)の中で一番心に残った言葉だ。
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①”仕事”と”仕事の勉強”
②家族といっしょにすごす時間を大切にすること
③自分のやりたいこと【山登り・写真→ブログ】
3つのことにどう力を配分するのか、僕の場合は試行錯誤の毎日。
うまく自分のやりたいことと、仕事とが結びつけられればいいのだけど、不器用でそれがなかなかできない。仕事をしながら仕事の勉強もして、家に帰れば家族といる時間を持ち、かつ自分のやりたいことをやっていく…。
これをすべて均等に大事にすることは難しい。時間が足りない。自分なりに工夫はしてみるものの、やりたいことが十分に”できなくて”、フラストレーションがたまっていく。
そこで、どうやったら時間をうまく使えばいいのか考える。時間のマネジメントを行なうことを前提として、でもそれがうまくいかないとき、どうするのか試行錯誤の毎日だ。その迷いからぬけだせる方法はないのか。
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登山家の田部井淳子さんは、女性として世界で初めて世界最高峰エベレストおよび七大陸最高峰への登頂に成功した。2人のお子さんを育ててきた田部井さんが、毎日の”やるべきこと”に追われる生活を送りながら、どうやって自分のやりたい”登山”を続けていけたのか知りたくて、この本を手にとった。
家族や周囲のひとたちに協力してもらう
ひとりで、どんなに必死にがんばっても、できることは限られてる。仕事をしていて、家族がいれば、一日に自分が自由に使える時間なんてたかが知れてる。
仕事と家事・育児をやりながらでも、自分がいっぱいいっぱいになってしまわないようにする。「どうしても○月△日に山に登りたいので、外出をしてもいい?」と、素直に家族にいえるようになったのは、肩の荷が降り少し気持ちが楽になった。
田部井さんの場合はバイタリティーが半端ではない。
エベレストに登れる!こんなチャンスは滅多にないので、子どもを残して行くということに対し、私の不安はありませんでした。夫も、すべてを承知の上で協力してくれました。
私は結婚していて、次はエベレストを目指すことになってから、夫が「一人で留守番するよりも、子どもを産んでからにして」と望んだため、娘が生まれました。
紙おむつなどない時代で、布おむつを300枚ぐらい縫いました。
一晩家を空けたりするので、その晩、洗濯しなくてもいいようにと多めにおむつをセットしていく。
土曜日から日曜日にかけて山の集まりがある時には、鍋という鍋に、煮ておけるもの、作っておけるものを用意して出かけました。離乳食の期間は、ジャガイモをつぶしておいたり、温めたらすぐに食べられるようなものを鍋に用意してラベルを貼っておいたり、できるだけ夫の手を煩わせずにすむようにと、いろいろ考えました。
続けること…情熱を持つこと
僕の今やりたいことは、山に登ること。山に登るのが好きなのは、今やっていることが、必ず実を結ぶという快感が得られるからだ。計画を立てて、きつくても一歩一歩足を前にだせば、たとえ遠くてもゴールへは近づいているという感覚が得られる。 そして、次の日へのモチベーションが湧いてくる。
頂上に着いた時の「やった!」という喜び。自分の足で一歩一歩登っていかない限り、頂上には辿り着けない。どんなにつらくても、登り始めたらだれも選手交代はできない。そんなことも私にとっては何かすごく心地よかったんですね。
山を登るにしても、写真をとるにしても、ブログを書くにしても、僕の場合、そのどれもが素人の域を超えない。周りのすごい才能をもった人たちのパフォーマンスをみていると、「自分なんて…」と弱気になる。
でも「できない!」と投げ出さずに、自分のやれることを、ひとつひとつ毎日毎日続けていく。
田部井さんは結婚をする前は、ほぼ毎週、山に登ってトレーニングをしていたそうです。
当時はまだ週休二日制ではなくて、土曜日は半日仕事。午後、登山の用意をして、その日の夜、夜行列車に乗って山に行くというふうでした。
そして朝、始発電車に乗って帰ってくるんですが、人がほとんど乗っていないので、つり革につかまって懸垂をやることもありました。人がいない時に、ですけれど。
そして大病を患っても、登山に対する情熱を持ち続けた。
がんになって、もう山に登ることはできないかもしれないとは全然思いませんでした。自分が登れる範囲の山を選べば、どこでも行けると思っています。ハードな岩登りや、7000~8000メートル級の高い山に遠征で行くのは難しいですが、登れる山を選んでゆけば、これからも登り続けられると思っています。
インタビューなので、語り口調でつづられる文章が読みやすい。本の後半…エベレスト登山が大変なものとはいうが、現場ではどんなことが起きているのか、臨場感のある文章で具体的に語られる。