日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

久住連山登山 視界の悪い日でも山中で地形図とコンパスを使いこなせるか? 中岳-稲星山-久住山を登ってみた(後編)

久住連山の登山で、牧ノ戸峠から出発し、中岳-稲星山-久住山をまわった。↓これが前編で今回は後編となる。前編は牧ノ戸峠から”久住分れ”という場所までを記した。

 

ooitasyuyu.hatenablog.com

後編は中岳の手前にある空池(からいけ)-御池(みいけ)を経由するところから↓

早朝は視界が悪くても日が昇ると霧が晴れることがたびたびある 

久住山に登頂するまでは、周囲は雲に覆われ視界は悪かった。ときどき雨がぱらつくこともあった。今回の登山は下山するまで、景色は拝めないな…と思っていた。久住山に登頂してから、徐々に霧がはれ視界が開けてきた。

久住連山の登山では、早朝は視界がわるくても、朝日が昇り、だんだん暖かくなってくる9時から10時くらいから、急に霧がはれてくることを何度か経験した。今回もそんな感じだった。

↓霧がはれ始める久住山山頂

稲星山から久住山までの道のりは、初めていく道。霧のなかで、地図とコンパスを頼りに目的地をみさだめていく良い練習になった登山だった。

 

”久住分れ”から中岳まで

中岳までは約1㎞。このあたりだと”天狗ヶ城”がみえてくるはずだけど、霧に隠れている。でもこのあたりは登山道がしっかり認識できるので、迷う心配はない。

天狗ヶ城手前の登りにさしかかると、ときどきサーっと霧がはれることがあった。

↓そんなとき天狗ヶ城のシルエットがみえた。なんだか神々しい。

 

ふたつの「池」 空池~karaike~と御池~miike~

↓そして火口跡の空池(からいけ)も、ときどき見えることがあった。空池の底は1652m。登山道からは30mほどグワッと落ちこんでいる。ここの景色も雄大だ。

↓空池を過ぎると、すぐに御池(みいけ)が見え始める。久住連山のなかには、大船山(たいせんざん)と呼ばれる標高1786mの山がある。この大船山ちかくには、同じ「御池」と書いて”おいけ”と呼ぶ池がある。同じ「御池」と書いて、”みいけ”と”おいけ”。ややこしい。

↑この場所からは御池のほとりを行くコースと、25mほど北側の岩場を登って、池を迂回するコースがある。

↓今回は御池のほとりにある登山道を行く。

この御池も火口跡らしい。空池には雨水が溜まらず、御池には溜まっている。同じ”池”の名を持っていて、隣り合っている同じような形状の窪みなのに、こんな違いがでてくるのが不思議。

御池から中岳に向かう途中 ルート外れに注意

このあたり↓に来たとき、霧で視界は悪く、一時的にどちらへ進んだらいいのかわからなくなった。晴れていて視界がひらけているときは、なんでもない場所なのだが、視界の悪いとき、このあたりはいくつかの分岐があるために方向感覚がなくなってしまうのだ。

↓そのときの実際の写真がこちら。現在地はだいたいわかっているので、東を進行方向にすればいい。コンパスを取り出し、東を確認する。踏み跡を外れないよう注意する。

 

↓幸い中岳山頂直前で、また霧が一時的にはれた。天狗ヶ城までの稜線がみれた。

 

中岳から見える地形

中岳の北側には3つほど1730mから1750mほどのピークがある↓

↓その3つのピークと、その周囲に荒地がみえる。向こう側の雲に隠れている山が三俣山(みまたやま)。

中岳、さいごの急登を登り、山頂へ。

視界は開けていない。

晴れていれば、こんな絶景がみえる↓。

中岳から南西方向をみたものだ。右手に御池。正面に久住山がみえる。

中岳から稲星山へ 急な下りとゆるやかな上り

 中岳山頂で水分と栄養補給をして、今度は稲星山へ向かう。地形図を確認すると、くだり→鞍部→なだらかな登り…となっている。ほぼ南へ直進していけば稲星山山頂に着きそうだ。

鞍部へくだる道はなかなか険しい。

おりる途中で鞍部の一部がみえた。右奥に雲で隠れているのが稲星山だ。

 

稲星山の登りは緩やかな砂利道

鞍部から稲星山へなだらかな登りが続く。

 

中岳のゴツゴツとした岩とは違い、小さな石や砂利が稲星山には多い。そんな砂利のなかに踏み跡がジグザグに確認できる。

↓霧が一瞬はれたとき、後ろをふりかえる。写真左(東)から右(西)に向かって強い風が吹き抜けている。気温は15℃くらいだが、霧と強い風で寒いくらい。体を動かさないと、みるみる冷えていくのがわかる。気温が低い時期だと、さらに体力がうばわれ遭難の原因になるんだろう。天気の悪い山上はこういうのが恐い。

稲星山山頂へ到着。他に登山者はいなくて心細い。周囲は細かい石の地面だが、山頂付近にだけ、いかにも溶岩という感じの岩がたっている。

↓山頂から、これから行く久住山があるだろう方向をみる。霧でほとんど何もみえない。はじめていくルートでこれは不安だ。

 

稲星山から久住山へのルートで、地図とコンパスが役立った

天気のいい日は見通しのいい場所なのだろうが、地図・コンパスがなければ踏み跡をたどる手ぐりの登山となる。これだと心もとないので、コンパスで目的地の方向を定める。

 

コンパスと地形図の使い方はネットでもたくさんの情報があるので、これを参考にした。山中でやってみると「あれっこの場合どうするんだっけ?」と混乱するので、やっぱり事前に何回か安全な場所で練習してみたのがよかった。実際の場にたつと落ち着いて判断ができる。

コンパスの長軸を、地図上の「現在地-目的地を結ぶ直線」と平行にする

磁北線カプセルの矢印が平行になるようコンパスの回転リングを回す

 

この手順を踏むことで、コンパスの矢印が目的地を示してくれているので、ひとまず安心。↓コンパスの矢印が指し示す方向が、目指す久住山山頂。

 進行方向だけではなく、現在地も確認していきたい。そのためには実際の地形と地形図の方向を一致させる必要がある。コンパスの磁針と、地形図にあらかじめ引いておいた磁北線を平行にする。これでできた。

 まわりの地形をみて、地形図をみて、そして現在地を確認していくようにする。迷わないよう慎重に進んでいく。

 

稲星山から久住山までの地形は↓こんな感じになっていると予想される。やや急なくだりを降りきると、右手にたぶん草原がひろがり、左手には谷がみえるはず。それからまもなく、やや急な登りとなる。稜線にでると220mほどで久住山の山頂に着くはず。全行程は1㎞弱。

 

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↓まずは下り。

↓谷間がみえてきた。南側の谷から吹き上げてくる風がものすごい。霧がすごいスピードで吹きあがってくるのがみえる。

 ↓そして右側(北側)に広がる草原。

↓鞍部へと着く。今度は登り返しとなる。予想通りの行程なので安心できた。

久住山は岩場が多くなる

↓やや急な登りにとりかかる。

↓稜線へと着いた。ここまでくるとポピュラーな登山道との合流地点まで近いので、なんだかホッとする。他の登山者にも会えるだろう。

天気が悪くても、だいたい久住山には登山をされているかたがいる。

↓一番ポピュラーな登山道と合流した。ここから黄色いマーキングに変わった。

 

久住山 岩の稜線

↓岩尾根を進む。もうすぐ山頂だ。

↓岩にピンク色の部分が目立つ。

↓久住山山頂に到着。周囲はガスっていて真っ白。リュックをおろし、もってきた柿ピーをほおばりながら水分補給をする。今日はこのまま、何もみえないまま下山することになるだろうと、諦めていたが…

下山しようと思ったら天候が回復

徐々に雲が切れはじめた。

↓はるかかなたに祖母山(そぼさん)もみえはじめた。

久住山山頂から祖母山山頂までは、南南東へ約30㎞の距離。意外に近いことにびっくりした。祖母山は宮崎県と大分県の県境にあり、ふたつの県をまたいでいる。だから久住山からは100㎞くらい離れていると勝手に思っていた。

気持ちがいいくらいに雲が散っていった。今までみえなかった雄大な景色が現れてきた。

 

↓避難小屋と星生山。

空池と天狗ヶ城↓

避難小屋、星生山、硫黄山↓

久住分れからみる硫黄山と三俣山↓

最後に

地形図と実際の地形を交互にみながらの登山は、現在地の確認とか、目的地までの所要時間とか、傾斜の度合いとか…とても実用的。でもそれ以上に、今回は歩いてはないけど、地図上に他のルートがみえると「次はこのルートにも挑戦してみよう」とか「あっ、この地形は実際どんな形になってるんだろ」なんて楽しい想像もできる。

 

今回は、ゆっくりじっくりの楽しい地図読み登山だった。

 

 

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