国土地理院地図のSAR解析結果で、熊本県阿蘇市にある阿蘇山(あそさん)を参照してみると以下のような不思議な地形図が確認できます。
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▼下の画像は、阿蘇山の2015年9月7日~2015年9月21日のSAR画像です。
このSAR解析というのは、人工衛星に搭載された合成開口レーダー(SAR)をつかって地表面の変動を計測・解析した結果のことで、SARはマイクロ波を地表に照射し、その反射波の位相情報から地表面のわずかな動きを数cmからmm単位の精度で捉えることができます。つまり色が変化している部分は地表が動いたことを示していて、特に紫やピンクなどの鮮やかな色は大きな変動が起きた可能性を示しています。

▼阿蘇五岳(高岳、中岳、根子岳、烏帽子岳、杵島岳)部分を拡大して確認してみます。画像中央の噴火口を中心に、同心円状に赤色や紫色の模様が広がっています。つまり、2015年9月7日~2015年9月21日に阿蘇山が隆起(膨張)したことを意味していると考えられます。

▼ふたたび、縮小して SAR解析結果がうめこまれた地形図をみてみます。阿蘇山の噴火口から西北西にかけて、赤色・紫色の模様がつづいています。このことは、この地域一帯で地表が大きく変動していることが予想されます。これは、火山活動による地殻変動が特定の方向に沿って広がっていることが考えられます。つまり、阿蘇山に存在するマグマの分布が円形ではなく、特定の方向に偏っている可能性や、マグマの上昇経路が断層などの地質構造によって支配されていることが考えられます。

地質図naviで、赤色・紫色となっている辺りの、さらに北西方向を確認してみると、複数の黒い線がみえます▼ これらの線は断層です。断層の方向にむかって、地盤の変動が起きていることから、阿蘇山周辺の地盤変動が、単に噴火口直下のマグマの圧力による隆起だけでなく、特定の地質構造、特に地下の活断層や岩盤の弱い部分に沿って地盤の変動が拡大している可能性が高いことが考えられます。

▼活断層(都市圏活断層図)

国土地理院地図は、SAR解析結果のような専門的な情報を重ね合わせることで、通常みることのできない地表の動きや、その背後にある地質学的な現象まで読み解くことができるので、とてもおもしろいツールです。