日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

中央構造線が形成した豊川流域の河岸段丘 愛知県豊川市豊川町

愛知県にある「豊川稲荷」ふきんを国土地理院地図で眺めていると、かわった地形をみつけることができました。

場所:愛知県豊川市豊川町

座標値:34.825245,137.393517

 

▼色別標高図で豊川稲荷の場所を確認してみます。図の中央部…赤丸の箇所が豊川稲荷です。豊川稲荷がある台地がある側は、色がグラデーションになっており、南西部の渥美湾まで徐々に標高が低くなっていっているのがわかります。

いっぽうで、飯田線に沿って、くっきりと色が分かれていて、豊川が流れる側の平野は、標高ががくんと落ち込んでいることが読み取れます。なんだか、不自然なほどです。

この「崖」で分けられる標高差は約10mです。この連なった崖は、主に河岸段丘(かがんだんきゅう)の形成メカニズムによって作られたものです*1。この地域、特に豊川(とよがわ)流域は、中央構造線の影響を大きく受けており、その地質的な特徴が地形形成に深く関わっています*2

 

その形成機序は以下の通りです。


谷底平野の形成

川の上流から運ばれてきた土砂などが山あいを埋め立て、平坦な谷底平野が作られます。


川の侵食力の増大

長い年月を経て、土地の隆起や気候変動による海面低下などの要因により、川の侵食力が増大します*3


谷底平野の削り込み

増大した侵食力によって、川はそれまでに形成された谷底平野を深く削り込んでいきます。

 

段丘面と段丘崖の形成

この削り込みの結果、元の平坦な谷底平野の面が現在の川よりも高い位置に残され、その側面に新しい崖が形成されます。この平坦面が段丘面、そしてその面と現在の川とを隔てる崖が段丘崖です。


複数段の段丘の形成

この堆積、侵食、隆起のプロセスが時間をかけて繰り返されることで、より古い段丘面ほど高位(高い位置)にある、複数の段からなる河岸段丘が形成されます。

 

◆◆◆◆◆

豊川流域には、高位・中位・低位の3段階の段丘面が存在します*4。飯田線は、特に中位段丘面や低位段丘面といった河岸段丘の地形に沿って走っています。

 

具体的には、豊川はその川筋が中央構造線の影響を大きく受けており、断層活動によって谷筋が形成されやすく、それに沿って水が流れて川となります。▼地質図naviで確認すると、中央構造線を境に、東西でその地質が異質であることがわかります。

この中央構造線の活発な断層活動と地盤の隆起傾向が、豊川とその支流沿いにおける河岸段丘や段丘崖の発達を促しました*5。例えば、新城市内の長篠城(ながしのじょう)は、豊川(寒狭川)と宇連川の合流点に突き出た低位段丘面の縁に位置し、東と南西側は急な段丘崖に守られていました。これらの崖はもろく崩れやすい断層岩で形成されており、城を難攻不落の自然の要塞として成り立たせました*6

飯田線沿いに見られる連続した崖は、主に中央構造線に起因する地盤の隆起と、それによる豊川およびその支流の侵食作用が繰り返された結果、形成された河岸段丘の段丘崖であると考えられます。