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福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

満開となった「あんずの樹」 福岡県福津市勝浦

2025年3月24日(月)に「あんずの里運動公園」の前を通りかかると、満開の美しい、あんずの花が咲きほこっていました。

 

場所:福岡県福津市勝浦

福岡県福津市に位置するあんずの里運動公園は、春には淡いピンク色の花が一面に広がります。園内には、2,500本ものあんずの木が植えられているそうです。あんずの里運動公園は、丘陵地を利用して造成されました 。そのため、公園の斜面にはあんずの木々が植えられ、見渡す限りのピンク色の景色を作り出します 。丘の頂上からは、のどかな勝浦の田園風景と、遥か彼方まで広がる玄界灘を一望できる素晴らしい眺めが楽しめます 。公園の入口から頂上の展望園地までは、高低差75メートルの階段が続いており 、散策しながら景色を堪能することができます。あんずの花は、一般的に3月中旬頃に見頃を迎えます 。桜の花よりも一足早く開花するため 、春の訪れをいち早く感じさせてくれる存在です。あんずの花の見頃は、一般的に1週間から10日程度とされています 。開花期間は天候にも左右されやすく 、雨や強風などがあると早めに散ってしまうこともあります。

あんずの花は、淡いピンク色をしています 。遠くから見ると、鮮やかな薄いピンク色の帯のように見えることもあります 。咲き始めはピンク色が濃いですが、徐々に白っぽく変化していくのが特徴です 。また、赤い萼(がく)が目立つため、全体としてはソメイヨシノよりも濃いピンク色の印象を与えると言われています 。花びらは5枚で 、丸みを帯びた形をしています 。梅の花とよく似ていますが、一つの節から複数の花が咲く点が異なります。梅の花は一つの節に一つの花が咲きます 。また、花柄は短く 、萼片(がくへん)が赤紫色で反り返るのが大きな特徴です 。この反り返った萼は、梅や桜の花と見分ける際の重要なポイントとなります 。梅の花は1月から2月頃に咲くのに対し、あんずの花は3月から4月頃に咲き、あんずの花が散る頃に桜が開花し始めるため、開花時期の違いも区別の手がかりとなります 。

あんずの花には、「乙女のはにかみ」「慎み深さ」「不屈の精神」といった花言葉があります 。これらの花言葉のうち、「乙女のはにかみ」は、春の主役である桜よりも少し早く、恥ずかしそうにピンク色の花を咲かせる様子に由来すると言われています 。あんずの里運動公園は、旧津屋崎町によって昭和63年(1988年)に設立されました 。設立当初は4,000本のあんずの木が植えられました 。

公園設立の背景には、昭和52年(1977年)の広域農協(JAむなかた)の合併を契機とした、冬・春キャベツの計画生産・出荷体制の確立がありました 。このような野菜産地の盛り上がりと並行して、旧津屋崎町は地域農業の活性化を目指し、あんずの里運動公園の建設に取り組んだと考えられます。また、「あんずの里」という名前には、勝浦海岸に中国から暖流に乗って流れ着いたあんずの種が実を結んだという言い伝えがあり、地区内には古いあんずの木も存在することから 、地域に根ざしたシンボルとしての意味合いも込められているのかもしれません。 

さらに、平成3年(1991年)には、公園の駐車場で地元の女性たちが軽トラックの荷台を利用して野菜や果物を販売する「青空市」が始まりました 。これが発展し、平成8年(1996年)には、農家と地元消費者との結びつきを強め、津屋崎地域の活性化を図ることを目的として、常設の直売所「あんずの里市」が開設されました 。この「あんずの里市」は、その後も規模を拡大し 、平成17年(2005年)には、女性の地位向上に貢献しているとして農林水産大臣賞を受賞するなど 、地域にとって重要な存在となっています。現在では、地元の小中学校の給食にも食材を提供するなど、食育の面でも貢献しており 、近年では売り場や駐車場の整備も行われ、より利用しやすくなっています 。