場所:福岡県朝倉郡東峰村宝珠山
座標値:33.436046,130.874770
2020年6月14日撮影
福岡県の山間部に東峰村は位置します。とても美しい景観をもつ村ですが、その中でも特に目を引くのが、竹地区に広がる棚田です。「日本の棚田百選」にも選ばれています。さらに、「美しい日本の歴史的風土」にも選ばれており 、その景観は視覚的に素晴らしいだけでなく、歴史と伝統に深く根ざしていることを示唆しています。この二つの栄誉ある認定は、竹地区の棚田が単なる美しい場所ではなく、国の重要文化財としても価値があることがわかります。
面積は約11ヘクタールに及び、約400もの美しい棚田が広がっています 。棚田全体の標高差は約160メートルにもなり、その地形の急峻さがわかります。竹地区の棚田は、室町時代(1336年~1573年)にはすでに形成されていたと考えられています 。谷間の限られた土地を耕地として利用するために、この地に住む人々が知恵と努力を重ねて築き上げてきました 。約400年の歴史を持つ石積みの壁は 、当時の人々の技術と持続的な農業への献身を今に伝えています。棚田の起源が室町時代に遡る可能性があり、石積みの壁が400年の歴史を持つことは、伝統的な農業の実践と建設技術が長く受け継がれてきたことがわかります。これは、土地と地域社会が何世紀にもわたって深く結びついてきたことを示唆しています。室町時代は江戸時代よりも前であり、日本の棚田の多くは江戸時代に建設されたと考えられているため、竹地区の棚田は他と比べて独特で、より古い起源を持つ可能性があります。400年前の石壁は、この地域の歴史的な深さをさらに際立たせています。
竹地区の棚田を特徴づけるのは、まるで城壁のような美しい石積みです 。中には10メートル近い高さのものもあり 、その壮観な姿は見る者を圧倒します。また、24戸の家々が棚田の中に点在し、集落と棚田が一体となった景観も竹地区ならではの特徴です 。これは、他の棚田では見られない珍しい光景です。形状、連続性、そして保存状態の良さから、竹地区の棚田は「日本の棚田百選」に選ばれました 。急な斜面に築かれているため、緩やかな斜面の棚田に比べて、一つ一つの田んぼの面積が小さいことが多いようです 。集落が棚田の中に溶け込んでいる様子は、地域社会と土地との深く共生的な関係を示唆しています。これは、竹地区の棚田を特徴づける重要な文化的側面であり、農業景観に密接に結びついた生活様式を際立たせています。多くの棚田では、集落は田んぼとは分離していることがありますが、ここでは両者が混ざり合っているため、地域住民の日々の生活と棚田が不可分な関係にあることがうかがえます。
竹地区の棚田を訪れるのに最適な時期は、5月下旬から6月上旬の田植えの時期と考えられます 。6月にはホタルが飛び交い 、8月には緑の稲穂が一面に広がり 、9月には黄金色の稲穂が実ります 。冬には雪景色が広がり、一年を通して美しい風景を楽しむことができます 。6月上旬の火祭りと、10月下旬から11月上旬にかけてのライトアップイベントが開催されます。