デジタルツールが日常生活で一般的に使用されるようになった現代においても、手書きのノートが必要であるその理由として、手書きノートが、単なる記録手段としての便利さだけでなく、手書きならではの思考力、創造性、そして記憶力への効果があるためです。手書きは、考えの吐き出しをなめらかに可能にしてくれます。。キーボード入力とは異なり、文字を丁寧に書くという行為は、脳の様々な領域を刺激し、記憶の定着を促します*1。
また、書く速度が遅い分、情報を取捨選択し、要約する能力も高まります。これは、情報を深く理解し、自分自身の言葉で再構築することに繋がるため、より記憶に残りやすくなると考えられます*2。さらに、手書きは、デジタルツールのように完璧な図形や均一な文字列ではなく、自由な線や文字をかたちづくることができ、それが視覚的な刺激となり、思考を広がりやすくしてくれると考えられます*3。
また、ノートの余白に自由に図やイラストを描くことも、思考を柔軟にし、新たな発想へと繋げられると考えられます。加えて、手書きは記憶力向上にも貢献します。手で文字を書く行為は、脳の運動野と視覚野を同時に活性化させ、情報がより深く記憶に刻まれます*4。
また、ノートを見返す際に、書いた時の状況や感情が蘇り、記憶の想起を促す効果もあります。これは、デジタルデータでは得にくい、手書きならではの感情的な面での利点と考えられます。手書きによるノート作成は、デジタルツールとは異なる効果を持つ可能性があります。手書きとデジタルツールを併用することで、それぞれの利点を活かせる可能性があります。
考えを深め広げるためには、デジタルツールとしてAI、そしてアナログのノート、それぞれの特性を理解し、効果的に活用することが重要と考えます。AIは、膨大な情報へのアクセス、高速な処理能力、そして客観的な視点といった、人間にはない能力を持っています。AIとの対話を通して、自身の思考の偏りに気づき、多角的な視点を得て、より深い考察へと進むことができます。AIとの言葉のキャッチボールにより、自身の漠然とした考えを明確な言葉に変換し、思考の整理を助けてくれることも可能です。
得られた情報をスムーズにメモするためには、アナログであるノートやメモ帳が最適です。思考の断片やひらめきを素早く書き留めることができ、後から見返すことで、思考の整理や新たな発想に繋がることもあります。
デジタルツールとアナログツール、そしてAI。それぞれの特性を理解し、状況に応じて使い分けることで、創造的な考え方を導くことができるのではないかと考えます。大事なことは、「どのツールを使ったらいいか?」ではなく、ツールに頼り切るのではなく、あくまで思考の主体は自分自身であると考えることです。デジタルツール、アナログツール、そしてAIは、あくまで思考を補助するための道具であることを認識し、それらを使いこなすことに重きを置くことだと考えられます。
参考書籍
『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書きノート」を使うのか?』太田 あや
『思考・発想にパソコンを使うな 「知」の手書きノートづくり』増田剛己
『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』鈴木 進介
『読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』奥野 宣之
『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』奥野 宣之
『思考と発想ノート術』掟想視
『ときほぐす手帳: いいことばかりが続くわけじゃない日々をゆるやかにつむぐ私のノートの使い方』Marie
『苫米地式 思考ノート術』苫米地英人