沖縄本島北部の東部、天仁屋(てにや)という地区に、「嘉陽層の褶曲(かようそうのしゅうきょく)」という地形をみることができます。
場所:沖縄県名護市天仁屋
座標値:26.571157,128.116941
沖縄本島の北部と南部とでは、構成している地層の古さが異なります。北部では3億年から5000万年前につくられた地層、南部では5000万年前よりも新しい地層で、主に構成されています(下図参照)。
沖縄北部の基盤岩類でもっとも若い付加体である嘉陽帯(かようたい)は、砂岩層の構成率が比較的高い、砂岩と泥岩互層で構成されています。付加体とは、プレートがしずみこむとき、海で生まれた土や石が大陸にぶつかってくっついたものです。
参照:沖縄県公式ホームページ
嘉陽帯を構成する嘉陽層(かようそう)という地層は、今から5400万年〜3700万年前(日本列島がアジア大陸の東端にくっついていた時代)に2000メートルを超える深海底に堆積した地層です。
褶曲(しゅうきょく)という地形は、水平に積み重なった地層が完全に固まる前に、地殻の変動によって横方向に圧縮されてできたもので、波形に曲がっているものです。
嘉陽層の褶曲では、海底地滑り痕、横臥褶曲、逆断層、生痕化石などが観察され、砂岩層からは中期始新世の貨幣石が見つかっています。貨幣石というのは、新生代古第三紀(6,600万年前から2,303万年前)に海の中で繁栄した大型の有孔虫が化石になったものです。
嘉陽帯は、時代と岩相が西南日本の太平洋側沿いに広く分布している四万十層によく似ていて、それが中琉球まで連続していると考えられています。
フィリピン海プレートが、ユーラシアプレートの下に潜り込むときに、プレートの上に乗っていた付加体が剥ぎ取られ、それが四国から中琉球のあたりまでの地帯では同様の地質をかたちづくっているものと考えられます。
▼国道331号線沿いに「嘉陽層の褶曲」看板がでています。
▼バリケードの手前に車1~2台停められるスペースがあるので、ここに車を停めて、徒歩で現地に向かいます。