場所:福岡県北九州市若松区二島
座標値:33.895417,130.740566
興玉神(おきたまのかみ)とだけ刻まれた庚申塔が、「ベーカリーさくらい」というパン屋さんの前に祀られていました。庚申塔の側面・後面には建立年などの銘は確認できませんでした。
庚申塔が祀られるスペースが特別にもうけられています。庚申塔のある場所は鉄柵で囲われ、その場所へと続く階段も、そのためだけにつくられています。庚申塔が大事にされていることがわかります。
庚申塔がある場所を今昔マップで確認すると、二島(ふたじま)の住宅街ができる前には田んぼと丘陵地がひろがっていたことがわかります。田んぼと丘陵地の境目部分、そして墓地のあった場所あたりに庚申塔が祀られていたことが想像されます。
現在の陰影起伏図で、庚申塔のある場所を確認してみます。たしかに丘陵地のふもと部分にあたることがわかります。
もういちど、今昔マップで1922年(大正11年)に測図された地図をみてみます。地図の南側を流れる川は江川(えがわ)です。江川に沿うかたちで集落がつくられ、集落の背後に道がのび、田園がのびています。現在、二島は住宅が密集する場所ですが、今から100年前は、ゆるやかな丘陵地に果樹園があり、平地には田園がひろがる牧歌的な風景の場所であったと想像されます。