苅田町の山奥、本谷という地区に小さな集落があります。集落の北端部道端に庚申塔が一基祀られていました。南北約200mほどの長さの集落で、数件の家しかありません。その数件のうちのひとつが天台宗「東伝寺」という寺院です。
場所:福岡県京都郡苅田町山口
座標値:33.766331,130.927630
庚申塔の正面に梵字と「青面金剛」という文字が刻まれています。
青面金剛は、中国の道教に由来した仏様です参照。
青面金剛が庚申待の際に祀られるようになったのは、天台宗の影響です。庚申のご利益が青面金剛のご利益に似ていたためです参照。
青面金剛がもともと、結核などの感染症を指す”伝尸(でんし)”から人々を守ってくれるといわれていました。この”伝尸(でんし)”という言葉が、庚申信仰にでてくる”三尸(さんし)”と結びついたため、青面金剛と庚申信仰が結び付いたといわれています参照。
福岡県内は猿田彦大神の神道系の庚申塔がまつられることがほとんどです。しかしここでは仏道系の庚申塔である青面金剛が祀られています。「本谷」集落に天台宗の寺院があることが、この庚申塔が祀られていることと何か関連があるように感じられます。
「明治九丙子八月吉日」と刻まれています。明治九年は西暦1875年で、干支は丙子(ひのえね)です。