北九州市門司区に、JR鹿児島本線の小森江駅があります。この小森江駅の東側に広い有料パーキングがあり、この敷地内に「かまぼこ」状の不思議なコンクリート製の建物が建っています。この建物は関門海峡をまたいだ、本州と九州とを結ぶ関門トンネル関連施設です。
場所:福岡県北九州市門司区小森江
座標値:33.915667,130.938930
2022年現在では通気口として機能しています。関門海峡は本州と九州を分断する約6000年前にできた比較的、幅の狭い海峡です参照。
かまぼこ状の建物は、もともと関門トンネルを掘る前の、トンネルの試作品だったようです。まず、試掘坑道が掘られ、その後に本坑である関門トンネルが掘られました。
この試掘坑道は、通称、豆トンネルと呼ばれました。豆トンネルは1944年(昭和14年)に貫通しました。同1944年に、本坑道である関門トンネルの起工式が行われました。そして同1944年(昭和19年)に貫通したといいます(参照:『北九州の近代化遺産(北九州地域史研究会編)』P.56)。
『北九州の近代化遺産(北九州地域史研究会編))』P.56に写真として掲載されているのは、かまぼこ状の竪坑入口です。これとは別に、ドーム型のコンクリート製の建物もあります。こちらが何であるかは紹介されていませんが、おそらくこれも試掘坑道の竪坑ではないかと予想されます。
もともと、関門海峡をまたいだ本州と九州との連絡方法として、①トンネル、②架橋、③列車運搬船の3つの方法が提案されていました。
②の架橋に関しては、軍事攻撃の目標にされやすいなどの理由で却下されました参照。
③の列車運搬に関しては、関門海峡を航行する船に影響をおよぼすために却下されました(『北九州の近代化遺産(北九州地域史研究会編)』P.56)。残った①のトンネル案が採用されました。
1945年(昭和20年)7月…第二次世界大戦の終結間際…アメリカ軍は関門トンネルの無力化を目的に、トンネルの下関側入口を攻撃予定としていました。しかし天気が悪く攻撃されずにすみました(北九州の近代化遺産(北九州地域史研究会編)』P.57)。
有料パーキングに車を停めると、パーキングの敷地内なので、ゆっくりと遺構を見学することができました。竪坑をみたあとは、すぐ近くにある関門製糖工場も観に行きました。製糖工場は立派なレンガ造りの建物で、これはまた別の機会にご紹介したいと思います。