『新京築風土記(山内公二著)』P.333に”岩屋の滝-竜王信仰彩る桜とホタルの里-”と題されて立派な滝が紹介されています。大分県と福岡県との県境で、耶馬渓(やばけい)にも近い場所にあるため、1月1日という真冬の時期であれば、凍った滝もみれるのではないかと思い行ってみることにしました。上毛町(こうげまち)の観光スポットとして、岩屋の滝は上毛町のホームページにも紹介されています。
場所:福岡県築上郡上毛町大字東上
座標値:33.507300,131.120165
”岩屋の滝”は福岡県築上郡に東上岩屋’(ひがしかみいわや)という地区にあります。東上岩屋では、棚田のなかにポツリポツリと民家がたてられています。民家のそばをとおりながら細い道をぐんぐん車でのぼっていくと、民家が標高300mくらいで途切れてしまいます。
それでもさらに山間の道をのぼっていくと、372mの標高地点のヘアピンカーブに小さな看板がみえてきます。岩屋の滝とかかれた看板です↓
この看板が立てられている地点から、遊歩道が山のなかへのびているのがわかります。
この遊歩道を徒歩で5分ほどあがってゆくと、めざす岩屋の滝がみえてきます。滝の周辺は岩がゴロゴロとしており、その岩には一昨日にふった雪がまだのこっています。
↓実際の滝の写真がこちらです。標高410m地点です。『新京築風土記(山内公二著)』P.333や、上毛町のホームページで紹介されている写真とくらべると、ずいぶんと水量が少ないです↓ 期待していた氷瀑でもなさそうです。
凍った滝をみることはできませんでしたが、滝の周囲にはたくさんの立派なつららをみることができました。美しいつららの写真は最後にご紹介します。まずは、滝のそばにまつられている龍王の祠についてまとめてみます。
滝にむかって左上の岩棚に石祠がまつられています。この石祠のなかには龍王をきざんだ石碑が安置されているといいます。
龍王とはなんなのでしょう?龍王は水の神であり、水のなかに住み、雨をよぶ魔力を持つ架空の動物といわれています。棚田がひろがる東上岩屋地区でも、農耕に必要な水は特にだいじにされてきたと考えられます。その水の象徴といえる、この立派な滝に水の神様である龍王さまをまつるのは自然なことであったと想像されます。
この岩屋の滝では、毎年春に滝祭りがおこなわれ、干ばつのときには雨乞いがおこなわれていたそうです参照。
岩屋の滝から南西へ650mほどいくと、標高500mほどのピークを越え、大分県中津市の耶馬渓にはいります。この滝の西側には624.4mの瓦岳が、東側には660m前後の大平山がそびえます。これらの山々からながれてくる水があつまり岩屋の滝をつくっています。
滝よりも標高の高い場所には民家などはないので、滝の水は山の上でふった雨が、溶岩でつくられた地面を通り、汚されることなくでてきたものです。とても綺麗な水だと考えられます。
滝のそばの岩壁にはたくさんのつららができていました。こうやって岩からしみだしてくる水が川のなかへとながれこんでいくのですね。