2020年7月25日の記事で『惣社八幡神社の一角に祀られる庚申塔』をご紹介しました。道をはさんで、その庚申塔の真向かいにもう一基庚申塔が祀られていました。↓下の写真のように草むらに隠れてしまっているので、見つけるのに注意をようします。
場所:福岡県京都郡みやこ町国作
座標値:33.685316,130.983275
船型の庚申塔の前面上部に種子、その下に細かい文字で「奉建立 庚申尊□□□□□」と刻まれています。刻まれている文字の彫りが浅いためか、もうほとんど文字が見えにくくなっています。
上の写真は写真を加工して凹凸面を強調しています。それでも文字の判読は困難でした。↓正面中央の文字にむかって右側に、おそらく、建立年が刻まれていたようですが、これも判読困難です。かろうじて「□三」という文字がみえます。「□」の部分は「正」とみえなくもないですが、江戸時代の年号に「?正」という年号はないために「正」という推測はまちがいと考えます。
「正」とみえる文字の一部が「口」に見えるので、もしかしたら「和」という文字かもしれません。もし「和」であれば、江戸期の年号で下の文字に「和」がつくのは「元和(1615-1623)」「天和(1681-1683)」「享和(1801-1803)」のみっつです。
惣社八幡神社ちかくに、ほかにも2つ庚申塔が祀られていますが、他の庚申塔の建立年は1800年代と比較的あたらしい庚申塔です。これから考えると、今回ご紹介する庚申塔も1800年代につくられたものではないかと考えられ、「享和三年」に建立されたのではないかと推測します。享和三年だと西暦1803年です。
↑正面中央の文字にむかって左側には「三月吉日」と刻まれているようにみえます。
これらの情報をまとめてみると、この庚申塔は1803年3月に建立されたと予想されます。
庚申塔の下部には蓮の花の模様でしょうか?模様がきざまれています。
この庚申塔をみたとき、2年前(2018年5月3日)にご紹介した田川郡赤村に祀られていた庚申塔をおもいだしました参照。種子の下に、たくさんの文字がびっしりと刻まれている雰囲気が、今回みつけた庚申塔と似ているためです。
文字の上についている種子をくらべてみると、今回ご紹介している惣社八幡神社の庚申塔についている種子も「青面金剛」をあらわす「ウン」という文字をあらわしているようにみえます。