福岡県大川市の小保という地区に「日枝(ひえ)神社」という小さな神社があります。この神社には狛犬ならぬ「狛猿?」が祀られています。
場所:福岡県大川市大字小保
座標値:33.207624,130.369261
この猿の石像は、通常狛犬がある場所である参道の両側に二基と、拝殿の前に一基祀られていました。
どうして通常祀られている獅子ではなく猿なのか?調べてみると、日枝神社のルーツが滋賀県の日吉大社…ひいては比叡山にあることがわかりました。文字だけで書いていくと、複雑でわからなくなったので、簡単な図にしてみました。
日吉大社では、もともと猿が神様の使い…神猿(まさる)として伝えられていました。その理由は不明です(参照:日吉大社HP-神猿について)。「神猿(まさる)」が「まさる」→「魔が去る」・「勝る」と転じ、猿が縁起ものとされました。
その日吉大社から生まれたのが山王(さんのう)信仰です。
山王信仰は日吉の神様の別名で、天台宗・比叡山延暦寺の守護神としての性格を意味します(参照:日吉神社HP-全国3,800社の分霊社と神猿)
比叡山の神様として山王がおられ、その山王をあがめるのが日吉大社と考えられます。そして日吉大社の神様の御霊(みたま)を分霊したのが、全国でみられる日吉神社や日枝神社、山王神社です。
福岡県大川市の小保地区にある日枝(ひえ)神社も、日吉大社から勧請された神社と考えられます。そのため日吉神社に伝わる「神猿(まさる)」がこのように神社に祀られているのでしょう。
猿が神様の使いであるので、狛犬である役割を猿が担っていると考えられます。よって通常狛犬がいる場所に神猿が配置されていると想像されます。
比叡山 延暦寺が天台宗であるため、天台宗が全国に広がるとともに山王信仰もひろがり、さらに日吉大社に関連する日吉神社・日枝神社・山王神社も多く建てられました。現在では、このような分霊社が全国に3800社あるといわれています(参照:wiki-山王信仰)。
大川市の日枝神社に祀られる神猿は、妻が「あの狛犬は変わった形をしている」と、たまたまみつけてくれたものです。思わぬところで、思わぬ発見ができました。
もしかしたら、近所にある日吉神社や山王神社と名がつく神社に参拝にいくと、神猿に出会えるのかもしれません。