福岡県嘉麻市に「小夜媛(さやひめ)宮」という小さなお宮があります。このお宮には、腰から下(つまり性器)の魔除けの神様として小夜媛が祀られています。
小夜媛の伝承として、お宮前に看板が立てられていました。その内容をかいつまんでご紹介すると…
・豊臣秀吉と秋月種実が戦った
・秋月種実が負けた
・秋月の家老が秋月藩の姫様をつれて逃げた
・しかし姫様は亡くなった
・姫様が亡くなった地にお宮を建てた
・腰より下の魔除け神として祀られている
そのお宮というのが↓こちらです。
場所:福岡県嘉麻市上山田
座標値:33.550443,130.771084
案内板からの情報では「秋月藩」に小夜媛というお姫様がいたということです。「秋月藩 小夜媛」というキーワードで検索しても、小夜媛についての詳細はでてきません。
一方で「松浦(まつら)佐用姫(さよひめ)」が検索結果としてよく出てきます。「松浦佐用姫」は弁財天のモデルであり、全国に残る佐用姫(さよひめ)伝説の本家であるとされます(参照:Wikipedia-松浦佐用姫)
「松浦佐用姫」伝説が、ここ福岡県嘉麻市の上山田でも引用されたのではないでしょうか?秋月城があったのは小夜媛宮の南西約20㎞の地点です。秋月の落城と松浦佐用姫伝承とが結びつけられたと推測してみました。
もともとこの地に道祖神…つまり「さやの神」が祀られており、小夜媛の小夜(さや)と、「さやの神」の「さや」とが結びついたと考えました。道祖神は、その地その地で担っている役割が様々です。
小夜媛宮の境内に祀られる「さやの神」↓
小夜媛宮の道祖神は「性の神」としての役割があったのかもしれません。
集落から村外へ出ていく人の安全を願ったり、悪疫の進入を防ぎ、村人を守る神として信仰されてきたが、五穀豊穣のほか、夫婦和合・子孫繁栄・縁結びなど「性の神」としても信仰を集めた(引用:Wikipedia-道祖神)
すべては私の推察なので、「佐用姫伝説の引用」という推測が誤りで、秋月城に本当に「小夜媛」というお姫様がいたのかもしれません。詳しく調べてみる必要があります。
佐用姫に関する同様の伝承が、たしか北九州市門司区清美小夜町にもあったと、私のかすかな記憶として残っています。佐用姫に関する伝承が、いろんな土地で残っている…という事実を知れたことが、今回の記事を書く際、収穫となりました。