『九州の鉄道おもしろ史』を読んでいて、九州でただひとつ、県をまたいでいる駅のホームがあるということを知りました。P432-P434に、その内容が紹介されていました。県をまたいでいる駅というのが、「宝珠山(ほうしゅやま)駅」です。
宝珠山駅はJR日田彦山線の駅のひとつです。日田彦山線は2017年(平成29年)、7月5日の九州北部豪雨で大被害をうけて、一部区間で不通の状態がつづいています。この宝珠山駅も、不通の区間のひとつです。
そのため線路やホームは雑草が伸び放題となっています。電車の行き来はなくなっているのですが、”九州でただひとつ”という文句に惹かれて、宝珠山駅へと行ってみることにしました。2019年8月11日(日)のことです。
場所:福岡県朝倉郡東峰村大字福井
場所:大分県日田市大字大肥
宝珠山駅の駅舎は福岡県寄りにあるので、実質、東峰村にある宝珠山駅ということになります。福岡県と大分県をまたいでいるというのが、宝珠山駅のホームです。ホームのやや南寄りのあたりに県境の標識が立っていました↓
標識の立っている地面には、ちゃんとこのような↓県境が描かれています。
県境標識の座標値:33.378715,130.879602
このように↑荒れてしまっているホームですが、駅舎を見学をする目的のためか、意外にも私たち家族以外にも何組かの方たちが、この宝珠山駅へと訪れていました。その方たちは、駅舎をメインに見に来ているのか、県境の標識のところまではこられていないようでした。
たしかに駅舎は趣のある造りでした。自動車での移動中心の私ですが、この木造の駅舎の雰囲気は、昔からあまり変わっていない、味のあるものだということが、なんとなく感じられます↓
ところで、この県境の標識が立てられたのは、2007年(平成19年)のこと。2007年までは、県境が駅構内にとおっている珍しい駅にもかかわらず、それに気づく人はすくなかったといいます(参照:『九州の鉄道おもしろ史』P433)
そのため東峰村が2007年に、ホーム上の県境の位置に「県境の駅」という標柱を建て、東峰村の名産である小石原焼(こいしわらやき)の陶板を線状に並べて埋め込みました(参照:西日本新聞 平成19年8月3日付)
日田彦山線の不通区間は添田駅(福岡県田川郡)から日田駅(大分県日田市)の、長い区間です(参照)。その区間は代行バスが行き来して、鉄道の代わりの仕事を担っています。
大分県に行く際に、その代行バスに出会うことがたびたびあるのですが、乗客が乗っているのを見ることは、あまりないように感じます。現在の荒れた線路の状態をみてみると、これらの線路をもとの状態に戻し、電車を再び走らせていくというのは至難の業のように感じられます。