超高齢化社会に向けて、2014年4月の診療報酬改定で「地域包括ケア病棟(病床)」と呼ばれる病棟が新設されました。どんな目的で、この病棟が新設されたのか?地域包括ケア病棟の一般的な説明は、以下のようになります。
急性期治療を終了し、直ぐに在宅や施設へ移行するには不安のある患者さま、在宅・施設療養中から緊急入院した患者さまに対して、在宅復帰に向けて診療、看護、リハビリを行なうことを目的とした病床です。参照:地域包括ケア病棟 | 特色と取り組み | 公立森町病院
しかし、この説明だと、地域包括ケア病棟が新設された背景がなかなか見えてきません。そこで、「地域包括ケア病棟が新設された背景」というキーワードでググってみます。
新設された背景が、ドンピシャで紹介されているサイトはありませんでしたが、新設された背景のヒントとなる情報を紹介してくれているサイト(https://hpcase.jp/fukuta_interview/)がヒットしました。ここでは、以下のような特徴が1つでもある病院では、地域包括ケア病棟の導入を検討すると良いと紹介されています。
①地域包括ケア病棟入院料1(=2,558点)よりも、入院単価が低い
②手術件数が少ない(年間100件以下)≒ 重症患者が少ない
③病床稼働率が低く、許可病床数の70%以下である
④連携施設を確保できていない≒患者様や近隣施設から評価されてない可能性がある
⑤在院日数のコントロールに苦労している
⑥介護療養病棟など、今後の展開が不透明な病棟を抱えている
この6つの特徴をさらにまとめてみます。
・在院日数に制限がなく患者様の入退院が少ない
・病状が安定している患者様が多い
・入退院が少ないので他施設などと連携することに慣れていない
・急性期、回復期、慢性期でいえば慢性期病院にあてはまる
この4つの特徴の、逆の特徴を考えてみます。
・在院日数が管理されている
・病床稼働率が高い
・他施設などとの連携システムが構築されている
つまりこれらの特徴が、地域包括ケア病棟を病院に導入する目的となると考えられます。ひいては、地域包括ケア病棟が新設された目的は…
・患者様の在院日数を決め、病床稼働率を上げる
・患者様の退院に向け、周囲の施設との連携を強化する
…となると考えられます。
古い記事ですが、たしかに政策として「病床数を削減させる」という記事が、2015年の日経新聞で掲載されていました。
政府は15日(2015年6月15日)、2025年時点の病院ベッド(病床)数を115万~119万床と、現在よりも16万~20万床減らす目標を示した。手厚い医療を必要としていない30万~34万人を自宅や介護施設での治療に切り替える。高齢化で増え続ける医療費を抑える狙いだが、実現のめどや受け皿になる介護サービスの整備にはなお課題が残る(参照:病床数を最大20万削減 25年政府目標、30万人を自宅に :日本経済新聞)