北九州市八幡西区にある、北九州では比較的大きな駅である黒崎駅。その黒崎駅から北東へ直線距離にして750mほどの場所に道伯山(どうはくざん)という高さが62.6mの小さな山があります。別名を城山(しろやま)といいます。
地形図で確認してみます↓ 地図中央からやや下側にある道伯山の北側には、現在でも工業地帯が広がっています。
1970年代、特に、この辺りの工場から排出される煤煙がひどく、周囲に住んでいる住民は他の地域へ引っ越していったといいます。工場から排出される煙はピンク、黄、黒、白…とさまざまな色を呈しており、それが「七色の煙」と呼ばれたのだそうです。
城山の脇に城山小学校があったそうで、校舎や校庭にふりつもるチリが多く、そのチリが舞い上がらないよう、校庭では散水が行なわれていたそうです(写真は北九州市50年の物語P76)。
そのような状況で、この地区に住む人が少なくなり、ついに城山小学校は1977年の3月に閉校となりました(北九州市50年の物語P75)。
城山のすぐ北側にある洞海湾には、周囲の工場から流れ込む工場排水により「魚介類はおろか大腸菌すら生息できない」海となりました(参照)。
周囲には八幡製鉄所をはじめ黒崎窯業、三菱化成、小野田セメントなど80社超の工場がひしめき、煤煙を排出していた。だが、住民の怒りがすぐに企業へ向くかと言えば、そうではなかった(北九州市50年の物語P77)
地元に住むたくさんの方々が、この周囲の工場で働いていたからなのだそうです。
↓現在、その道伯山にある展望台から西側を眺めた景色です。遠くに見えるふたつの煙突は、おそらく三菱化学工場の煙突と思われます。
場所:福岡県北九州市八幡西区屋敷
座標値:33.8701477,130.7731018
現在は煙突からの煙はみられるものの、1970年当時のような「七色の煙」ほどひどい状態ではないようです。1980年代には城山の上に青空が戻り、洞海湾にも魚介類がもどってきています。
城山について調べていると、意外なことにこの山は火山だったそうです。
新生代新第三紀鮮新世(約250万年前)に噴火した小さな火山です。(中略)山の下部は噴き出た溶岩のかけらが降り積もった火砕岩、上部は流れ出た溶岩が冷え固まった玄武岩でできており、1回の噴火でできたと考えられます。噴火口は見えませんが、溶岩が出てきた穴(火道)の跡が山の真下に続いていることが分かっています(参照)
この城山で以前に撮った写真のなかに、こんな写真がありました↓。城山の中腹にある住吉神社近くで撮ったものです(座標値:33.8713351,130.7742418)。
赤色っぽい部分と暗緑色の部分がある特徴的な岩石です。
もしかしたら火山でできた岩石なのかもしれませんが、火砕岩や玄武岩の特徴が含まれていないようです。