旧長崎街道に沿って歩いていて、こんな建物を見つけることができました。全体像を撮った写真が手元にないので一枚目はGoogle mapのストリートビューです。
場所:福岡県飯塚市宮町
座標値:33.641294,130.684425
ずいぶん古い建物で印象深かったので数枚自身でも写真を撮っていました。「中村印刷」という看板が玄関口に掲げられています。しかしこの建物は今では使われていないようです。
そこでこちらの書籍↓を読んでいると、この建物について紹介されていました。
もともとは飯塚郵便局で、1904年…つまり明治37年に建物が建てられたのだそう(P101)。1920年までの16年間郵便局として使用され、その後は内科医院となりました。さらに1940年に看板に見られる中村印刷所となったのだそうです。
印刷所となってからは、一階が印刷所、二階が住居として使われました。
さらに、筑豊の近代化遺産ではこの建物について詳細に紹介しています。
建物は総二階建ての寄棟造、桟瓦葺。(中略) 当初は正面に庇が取り付けられ、外壁はドイツ式下見板張りペンキ仕上げ。一階の北側面には煉瓦壁を築く。正面中央部は柱に線彫りを施し最も装飾的な部屋で客溜と考えられる。二階は意匠的な階段があり局長室・応接室があったと推測。(P101 嶋田光一筆)
なるほど、建てられた当初はこの部分に庇がつくられていたのですね。
外壁はドイツ式下見板張りペンキ仕上げ…とありますが「下見板張り(したみいたばり)」とはどんなものなのでしょうか。こちらのサイトを参照すると、細長い板を横向に壁へ順にはりつけてゆくのですが、上の板の一部を下の板の一部と重ねあげていく建築方法なんだそう。
#近代建築
— Kanpanerura(💛=^ω^=) (@Siamese___Cat) 2018年3月28日
旧大川栄邸(田園調布の家)@江戸東京たてもの園
1925年築
設計:三井道男
木造平屋 2×4工法
ドイツ下見板張 pic.twitter.com/1c8QCkSm7M
今ではその板張り部分はなくなっており、コンクリート製の壁となっています。
一階の北側には煉瓦(れんが)の壁があるということですが…このレンガ壁も写真に撮っていました↓
中村印刷所の南側にもレンガ壁があり、おそらく昔の名残だと予想されます。こちらのレンガ壁は印刷所のすぐ隣にある曩祖八幡宮参道に面しています。建物の内部は見ることができないので、装飾された柱や階段は確認することができませんでした。
この界隈はとても古い建物がたくさん残っている印象を受けました。そのそれぞれの建物にもなにか歴史が残っているのかもしれません。