場所:福岡県田川郡赤村内田 県道418号線沿い
座標値:33.629105,130.86798
1683年とけっこう古い庚申塔ですが記銘はしっかり残っています。干支は癸亥(みずのとい)。月日まではっきりと読み取れ、「十二月二十三日」の銘が確認できます。
正面真ん中に「奉念 庚申」、その上に種子(しゅじ)が刻まれます。この種子は何を表しているのか?
こちらのサイト(梵字と種子の一覧 | 古文書便覧)で調べてみると降三世明王(ごうざんぜみょうおう)を表すとのことです。
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(追記)のちほど「国東半島の庚申塔」の著者である小林幸弘氏よりご教授いただき、この種子は「ウン」と読みいくつかの仏尊を表すということでした。
そのなかに青面金剛が含まれ、この種子は青面金剛と解釈するのが無難と思われる…と教えていただきました。
参考にしたサイトをよくよく読み直して見ると、確かに「ウン」の種子が表す仏尊に青面金剛がありました。私はこの種子のひとつの仏尊…降三世明王…しか読み取れていませんでした。
たしかに庚申塔に刻まれる種子としては青面金剛が最も適切だと考えられます。いつもご教授をありがとうございます。
以下は降三世明王について調べたものをメモとしてそのまま残しておきます。
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降三世明王とは?
大衆に向かってわかりやすい言葉で仏教の教えを説く顕教とは逆に、教団の中のみで秘密の教義と儀礼を伝えていく仏教のことを密教というそうです(参照)。
その密教のなかで信仰される神様の一部が五大明王。五大明王は、中心「不動明王」、東「降三世明王」、西「大威徳明王」、北「金剛夜叉明王」、南「軍荼利明王」で配置されるのだそう(参照)。
ここで降三世明王の名がでてきました。五大明王のうち東方を守る明王のことです。
正面に向かい右側に刻まれる文字は?
『現當二世悉地成就祈』と刻まれていますが、どういう意味なのでしょう?まず「現當二世」は「この世と後の世」のこと参照
「悉地」は”しっじ”と読み「修行によって完成された境地」、つまり悟りの境地のことなのでしょう参照
「成就」は「願いなどがかなう」こと参照
上記の意味を総合して考えてみると『現當二世悉地成就祈』の意味は”現世でも来世でも悟りの境地でいられることを願います”という意味となるのでしょうか。
そしてこれらの文字の下には庚申講のメンバーの名前が5人刻まれています。ここまではっきりと文字が読み取れると気持ちがいいです。