「国東半島の庚申塔」(小林幸弘著)には、著者である小林氏が厳選した「国東半島の庚申塔100選」が掲載されています。そのなかのひとつに明徳寺にある直方体、柱状の庚申塔があると紹介されていました。”国東半島ではほかに類を見ない特異な存在”と紹介されていますので興味がわきました。今回はこの庚申塔を探してみることにしました。場所が明徳寺境内…とあるので比較的探しやすいと予想されました。
座標値:33.612915,131.698981
目指す庚申塔は山門をくぐってすぐ左側にありました。大きな岩の上に祀られていました。
「国東半島の庚申塔」には以下のように紹介されています。
薬研彫りは聞きなれない言葉だったので調べてみました。「やげんぼり」と呼ぶそうで、文字を刻んだ部分がV字になっている彫り方なのだそう。薬剤師が薬の材料を砕くのに使う道具がV字にくぼんだ形をしていることから、薬研彫りという名前が付いたよです(参照)。
頂部がわずかに尖った塔身が柱状の文字塔。右側面に「天明三癸卯天」左側面に「五月吉日」と大きく刻まれる(P188)
「天明三癸卯天」の癸卯は干支のひとつ。「みずのと」+「う」で「みずのとう」。最後の文字である「天」は、他の庚申塔にも刻まれている「尊天」と同じような意味合いで使われているのでしょうか。「天」は"人を超えた存在"という意味(参照)、「尊天」は"この世に存在するすべてを生み出している宇宙生命・ 宇宙エネルギー"という意味(参照)なのだそう。
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追記
「国東半島の庚申塔」の著者である小林幸弘氏より、「天」についてご教授いただきました。その一部を以下に引用します。
年号を示す紀年銘につけられた「天」は「年」の代わりに用いられています。同じような代用例としては、「歳」「暦」「季」「稔」や、「龍次」「歳次」などもまれに見られるようです。
ブログ記事のなかで、わからない部分や不明瞭な部分について、追加情報や詳しい資料を送付していただいたりと、いつも小林氏にはたいへんお世話になっております。
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明徳寺自体はだいぶ古くて人は住んでいなさそうですが、境内に車が駐車されていたので、もしかしたらお寺に関係するかたが管理されているのかもしれません。
明徳寺は家がたくさんある集落のなかにありますが、お寺の前には共同使用と思われる広場があり、ここに駐車をすることができました。