福岡県の街道沿いでは猿田彦大神の文字塔をよく見かけます。道祖神的な役割もあると思っていましたが、九州の神道庚申塔は比較的歴史が古いらしいです。庚申信仰 (民衆宗教史叢書 第17巻)によると関東・中部では宝暦(1751-1764)頃から、いっぽう九州では元禄(1688-1704)頃から神道庚申塔…猿田彦大神の文字塔が普及したそうです(P214)。元禄は1688-1704年の江戸時代の前半部分にあたる時代です。
今回庚申塔を探しにいったのは嘉穂郡の桂川町。桂川町の貴船神社にある庚申塔です。元禄何年くらいに造られた庚申塔なんでしょう?
場所:福岡県嘉穂郡桂川町 貴船神社
座標値:33.579006, 130.668163
貴船神社の参道、二の鳥居をくぐってすぐ両側に猿田彦大神が三基祀られていました。元禄時代の庚申塔は右側にありました。
こちら↓が鳥居をくぐって右側 二基の庚申塔です。
↓分類表を参照して、この二基を分類してみると…左側は「笠つき」、右側は「板状」ということがわかります。そして板状の庚申塔が元禄のものらしいです。
真ん中の「猿田彦大神」という文字の右側に「元禄十年」、左側に「閏二月九日」が刻まれます↓
元禄十年といえば1697年。おそらくいままで探してきたなかで一番古い「猿田彦大神」の庚申塔だと思います。1600年代のものは記憶にありません。
笠つきの庚申塔にも猿田彦大神と刻まれているようですが、だいぶ表面が剥落してしまっています。
塔に向かって右側面に造られた年が刻まれていそうですが、文字は判別できませんでした↓
なんと驚いたことに平成22年造の庚申塔もありました。塔の後ろ側…「平成二十二年十月吉日 吉田眞博」と刻まれます。吉田眞博…よしだまさひろ…と呼ぶのでしょうか?それにしても平成22年といえば2010年。これまた、これまで見たなかで一番新しい庚申塔?です。