国東半島にある石造美術のなかでも珍しい形態をもっていると聞いて足を運んでみました。
場所:豊後高田市大字美和 青宇田(あおうだ)の画像石
↓下の写真にうつっている奥の建物。収蔵庫に展示されています。
この青宇田の画像石は、剥離石という薄い石に六地蔵、阿羅漢などが線彫りされていて、浄土思想を絵巻物風に表しているとのこと。
↑こちらは六地蔵を描いた石板。六地蔵とは①地獄道、②餓鬼道、③畜生道、④修羅道、⑤人道、⑥天道…の6道それぞれにおられる地蔵菩薩のことで、まよえる人々を救済して仏の教えに導くといわれる。
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画像石のデータは以下のようなもの。
石質:剥離石
数量:94枚
制作年代:1385年、1391年の銘あり
解説:南北朝時代末期、丘陵の一角にあった、延命寺の僧、一道・道念ほか5名の発願により完成した。角閃石(かくせんせき)安山岩(剥離石)に願文、十三仏種子、十王庁展開図、弥陀の来迎図、六地蔵、阿羅漢などを線彫りしている。
↓こちらは阿羅漢図。
阿羅漢とは、釈迦の教えをもとに修行し、煩悩を断って知識を得、世界の人々から供養をうけるほどになった聖者たちのこと。画像石では、3~5体ほどの「阿羅漢」が描かれた石版が何枚にもわたっているために、全体的には500羅漢を描いたと考えられている。
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この画像石が小さな収蔵庫に収められています。本来はこの収蔵庫裏の崖の上にあったといわれる寺院で作られ、崖にはめこまれていたのではないかと伝えられています。
でも近年では崖の下に風雨にさらされた状態になっていました。そのために線はぼんやりとなっていて、判別しにくいものも。
石版に何枚も線彫りしている形態の石仏は、国東半島のみならず、全国のなかでも珍しいもの。
死後あるいは現世で、清い世界を実現したいと願う浄土思想が、日本で盛んになった時代につくられたもののようです。
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夜も暖房なしで過ごせる日もでてきはじめ、だんだん春らしくなっています。こちらは3月3日の日田市大山町にある「おおくぼ台 梅園」。この時点で梅は7分咲。
「おおくぼ台 梅園」は去年から足を運びはじめていますが、一面の梅が見ごたえあります。