素朴。だけど、阿弥陀さまが空からおりてくる様を、流れるように描いているこの彫刻はほんとうに美しい芸術品と思います。この石仏はお堂に祀られおり、窓から入ってくる光で仏さまたちが浮き上がって見えます。人里から少し離れた山のふもとで寂しい場所の印象をうけますが、この石仏が祀られるにはふさわしい場所だと感じます。
千燈石仏(せんとうせきぶつ)
高さ:約70㎝
幅:約160㎝
厚さ:約50㎝
制作時期:鎌倉時代末期~南北朝時代
県指定史跡
場所:国東市国見町千燈
場所は国東半島の北寄り。半島を一周する国道213号線から、5㎞ほど南にくだった場所にあります。六郷満山(ろくごうまんざん)第二十三番札所である千燈寺(せんとうじ)をすぐ北側にみることができます。
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この石仏は、亡くなった信者を阿弥陀様が極楽浄土から迎えにきている絵図で、いわゆる阿弥陀来迎図(あみだらいごうず)と呼ばれるものです。
右下に建物の中で合掌している僧が彫られています。この僧に向かって下ってくる阿弥陀如来や、楽器を奏でたり踊ったりしている菩薩さまが表されています。
脇に不動明王と多聞天が配されていると説明看板には記されています。↑は背後に炎を背負っている姿から、不動明王と思われます。石仏の左上に配置。
↓多聞天と思われる姿ははっきりとはわかりませんが、右上に踊っている姿の仏さまが彫られていますが、この方でしょうか。
仏像が刻まれている岩の存在感、祀られている場所、そして仏像群のきめの細やかさ… 国東半島の石仏群をみてまわりましたが、個人的には最も記憶に刻まれる石仏でした。