日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

溜池のほとりにまつられる二基の庚申塔 大分県豊後高田市西真玉

以前に訪問したことがあるコウシンサマのもとへ、再度、訪問しました。大分県豊後高田市の西真玉という地区。溜池のほとりにたつ庚申塔です。この場所には二基の庚申塔がまつられています。以前の訪問では、一基の庚申塔にしかきづきませんでした。今回は、小林幸弘氏の運営されているホームページ『国東半島の庚申塔(パソコンで画面表示が可能)』を拝見し、この場所に二基、庚申塔がまつられていることがわかりました。

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溜池のほとりにたつ石仏群

場所:大分県豊後高田市西真玉

座標値:33.596924,131.481415

 

まず、一基目の庚申塔はこちらです↓

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坊主頭の青面金剛さま

一面六臂の青面金剛さまは、逆立った髪が特徴のものとは異なり、坊主あたまです。青面金剛の両脇には小さめの二童子がひかえます。像容がはっきりとしませんが、青面金剛は足に蓮の葉かなにかを敷いているようにもみえます。左右対称の像のようなので、邪鬼ではないと考えられます。

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さらに下段には正面をむいた二猿、そしてその下には横をむいた二鶏がきざまれています。

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大きな笠をもつ

ここで、小林幸弘氏のホームページから引用させていただきます。

 

総高:135cm
内容:青面金剛(1-6) 2猿 2鶏 2童子
造立年:宝永七年:1710

記事:寅 二月廿一日
解説:田畑に貴重な水を供給する池の土手に祀られている大きな笠が印象的な刻像塔。こびとのように小さな二童子が青面金剛の足元に侍している。

 

http://5884koshinto.my.coocan.jp/12matama/12031.html

 

 

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そして、以前の訪問では、私はきづかなかった、もう一基の庚申塔を以下にご紹介します。

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青面金剛文字塔

青面金剛像のきざまれる庚申塔がおおい国東半島ではめずらしい、青面金剛の文字塔です。「青面金剛の文字塔」と書いたものの、わたしには、塔表面にきざまれている文字は判読することはできませんでした。

 

ホームページ『国東半島の庚申塔』を拝読し、これが庚申塔であることがわかりました。その箇所を引用させていただきます。

 

種別:青面金剛文字塔
総高:154cm
内容:奉□南無青面金剛□□
造立年:寛文十年:1670
記事:十一月吉日
解説:刻像塔と一緒に祀られている板碑型の文字塔。上部の日輪と月輪の中に、日と月の文字がある。

 

http://5884koshinto.my.coocan.jp/12matama/12032.html

 

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表面の文字はほとんど判読できなくなっている

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今回の投稿で、2021年10月3日からつづけてきた、国東半島でみつけた庚申塔のご紹介を終了します。たった一日の国東半島訪問でしたが、ひさしぶりに国東の大自然にどっぷりと浸かれた、有意義な庚申塔さがしでした。

田にかこまれた薬師堂にまつられる庚申塔 大分県豊後高田市中真玉

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お堂をぬけると石仏群がおられる

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右側に庚申塔二基がまつられている

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二基の庚申塔にむかって右側の庚申塔

場所:大分県豊後高田市中真玉

座標値:33.597842,131.493077

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角度をかえて像容を読み取る

凹凸がほとんどなくなっており、像容がみえにくいです。かろうじて、青面金剛の両脇に二童子がみえます。また、下側に鶏が1羽だけ確認できます。

 

小林幸弘氏が著した『国東半島の庚申塔総覧』P.48を引用します。

 

青面金剛刻像塔 130㎝

青面金剛(1-6) 2猿2鶏2童子

元禄十一年戊寅 □月十二日:1698年

こちらの一基にも笠が載せられて初めて見たときとは印象が変わった。セメントでの補修痕が痛々しく感じる。

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二基の庚申塔に向かって左側の庚申塔

場所:大分県豊後高田市中真玉

座標値:33.5978315,131.4930744

 

こちらの庚申塔は、凹凸がひかくてきはっきりとしており、何がきざまれているかがわかります。

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像容が比較的はっきりとしている

青面金剛刻像塔 159㎝

青面金剛(1-6) 3猿1鶏2童子2邪鬼

宝永二年 乙酉四月吉日:1705年

薬師堂に二基並んだ刻像塔。最初に訪れたときにはなかった笠を載せられて立つすらりとした塔身によく似合う。

 

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庚申塔にむかって右側面に刻まれる建立年月

 

泰雲寺にまつられる二基の庚申塔 大分県豊後高田市来縄

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泰雲寺に二基の庚申塔がまつられる

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秋葉大権現のお堂の前にまつられる

三基の石塔が、秋葉大権現お堂前にまつられています。右側二基が庚申塔です。いちばん左側の石塔は、二体の夫婦像が刻まれているようで、道祖神のようにみえます。

 

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二基の庚申塔に向かって、左側の庚申塔からご紹介します。こちらの塔の風化ははげしく、青面金剛像がシルエットのように残っているのみです。

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建立年の銘がない庚申塔

場所:大分県豊後高田市来縄

座標値:33.543747,131.449448

 

青面金剛様が邪鬼をふんでいるようにみえます。別の角度からみて写真のコントラストをあげると、その邪鬼をふむ青面金剛には火焔光背が確認できます。

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火焔光背が確認できる

さらに青面金剛の両脇には二童子がひかえ、かろうじて一羽の鶏のような姿がみえます。鶏の左となりに人型のシルエットがみえますが、像容がはっきりとしません。建立年の銘は確認できませんでした。

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一猿一鶏?

ここで、小林幸弘氏が著した『国東半島の庚申塔総覧』P.20の内容を引用させていただきます。

青面金剛刻像塔 98㎝

彫りがきわめて浅く青面金剛の尊容の細部が不詳。邪鬼らしきものを踏まえその下に二夜叉と一鶏が表されているが猿の姿はない。

 

 

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今度は、二基の庚申塔のうち、右側の庚申塔をご紹介します。こちらの庚申塔は、比較的像容ははっきりとしています。

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建立年の銘がある庚申塔

場所:大分県豊後高田市来縄

座標値:33.543742,131.449446

 

一面六臂(いちめんろっぴ)の青面金剛像に髪はなく、青面金剛の頭上には月雲がきざまれています。こちらの青面金剛も邪鬼をふんでいます。邪鬼の表情もかろうじてのこっており、薄い笑いをうかべているようにみえます。

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青面金剛 月雲 邪鬼

邪鬼の下側には、三猿二鶏が確認できます。

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三猿二鶏

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庚申塔にむかって右側面をみてみます。「明和元年申十一月吉日」の銘がきざまれています。明和元年は西暦1764年です。

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明和元年申十一月吉日

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小林幸弘氏が運営されているホームページ『国東半島の庚申塔』でも、二基の庚申塔が紹介されています。

 

1基目の庚申塔

http://5884koshinto.my.coocan.jp/11takada/11037.html

 

2基目の庚申塔

http://5884koshinto.my.coocan.jp/11takada/11036.html

真玉川のそばにまつられる庚申塔 大分県豊後高田市大岩屋

はじめて見たとき、これが庚申塔だとは気づきませんでした。大分県豊後高田市をながれる、真玉川のすぐそばに巨大な岩が鎮座しています。

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階段をおりてすぐそば

場所:大分県豊後高田市大岩屋

座標値:33.590222,131.523373

 

 

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ガードレールのすきまから庚申塔がみえる

小林幸弘氏著の『国東半島の庚申塔総覧』P.51に、この庚申塔が紹介されています。

 

庚申文字塔 171㎝

「奉勧請庚申石塔現世安穏後生善処敬白」

承応三年:1654年

大きな岩の表面を掘りくぼめて、現世安穏のために祀ることを刻んでいる。真玉町で二番目に古い年号を刻んだ文字塔。

 

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巨石に二か所 長方形のくぼみが彫られる

岩に刻まれている文字は「奉勧請庚…」という文字がかろうじてみえるだけで、それ以下の文字は、確認することはできませんでした。

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「奉勧請庚申石塔現世安穏後生善処敬白」

1600年代建立のとても古い庚申塔で、珍しい形態をしています。史料なしでは、とても探すことができない庚申塔でした。

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こちらに銘は確認できず

 

真玉寺の境内にまつられる庚申塔② 大分県豊後高田市西真玉

真玉(またま)寺にまつられる二基の庚申塔のうち、もう一基の庚申塔をご紹介します。前回の記事『真玉寺の境内にまつられる庚申塔①』のつづきです。

 

真玉寺の山門にむかって左側。下の写真のような石祠とともに笠つきの庚申塔がまつられています。

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石祠と並べられてまつられている庚申塔

石塔表面の凸凹はすくなくなり、全体的に像容が薄くなっているような印象をうけます。主尊の青面金剛は、身体の前で合唱している一面六臂(いちめんろっぴ)であることは、比較的、はっきりとわかります。

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像容がうすくなっている

場所:大分県豊後高田市西真玉

座標値:33.6016579,131.4755554

 

比較的、像容がわかりやすい青面金剛に対して、その両脇や足元にきざまれているらしい像は、もうほとんど判別ができません。ここで、小林幸弘氏が著した『国東半島の庚申塔総覧』P.46を参照、引用させていただきます。

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一面六臂の青面金剛

青面金剛刻像塔 147㎝

青面金剛(1-6) 2猿 2鶏

寛保二壬戌天 十一月□□ 5人名:1742年

真玉寺の前にある二基のひとつ、軒唐破風付きの笠を載せた刻像塔。全体に彫りが浅く一部見づらい状態になっている。

 

青面金剛の両脇、足元には二猿二鶏がきざまれているのでしょう。庚申塔の両側にきざまれている建立年月の銘は確認しやすく、1742年11月の建立だということがわかります。

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「寛保二壬戌天」ときざまれる

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「十一月」ときざまれる

真玉寺には、庚申塔以外にも、国東半島らしい石造物がまつられているため、機会があればぼちぼちとご紹介します。

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真玉寺山門周辺

 

真玉寺の境内にまつられる庚申塔① 大分県豊後高田市西真玉

国東半島の北西部に位置する真玉(またま)寺。真玉寺には、二基の庚申塔がまつられています。今回の記事では、そのうち一基をご紹介します。

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真玉寺内 2基あるうちの1基の庚申塔

場所:大分県豊後高田市西真玉

座標値:33.6017036,131.4757233

 

真玉寺は下の写真のように、周囲を池でかこわれています。真玉寺の北側に、Google mapでは「真玉城」とかかれている広場があります。むかし、真玉城が築かれていたのでしょうか。ここに車をとめられるスペースがあったので、停めさせていただきました。

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真玉寺は池で囲われている

池の上にかかる道をとおって、真玉寺境内をめざします。真玉寺自体が、まるで堀にかこわれたお城の跡のような印象を受けます。

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水の通り道が開いている石道で境内へ進む

真玉寺の山門前に仁王像や経塚などの石造物がならべられています。そのなかに、庚申塔もみられます。

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山門周囲にある石造美術群

山門にむかって左側に、経塚とならべられた庚申塔をみつけることができました。

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経塚と並べられている庚申塔

庚申塔の像容はかなり見えにくくなっています。火焔光背をせおう青面金剛のうでは、確認できるかぎりでは4つの腕があるようです。身体の前側には複雑な模様がきざまれているようですが、それが服のひだなのか、身体の前であわせられた手なのかは判別することはできません。

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青面金剛の両脇に二体の像がきざまれています。二童子かもしれませんが、細みの身体や、正面ではなく横をむいて背をまるめたような恰好から、二猿だと想像されます。

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一番下部に刻まれる二鶏

二猿の下には二羽の鶏がきざまれ、二羽とも中央部をむき、横向で刻まれています。

 

小林幸弘氏の著した『国東半島の庚申塔総覧』P.46によると、この庚申塔の高さは85㎝とあります。成人のおよそ腰あたりの高さがある庚申塔です。

 

次回は、真玉寺にまつられるもう一基の庚申塔をご紹介します。

貴船神社にまつられる庚申塔 大分県豊後高田市来縄

今回、ご紹介する国東半島の庚申塔は、豊後高田市の来縄(くなわ)という地区にまつられているものです。

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本殿にむかって左側にまつられる庚申塔

場所:大分県豊後高田市来縄

座標値:33.5422668,131.4466553

 

こちらの庚申塔のもとには、一度、おとずれたことがあり、2016年3月16日の記事で紹介したことがあります。

 

参照:https://www.ku-hibino.com/entry/2016/03/16/022809

 

2021年時点では、もう5年も前におとずれたことになります。庚申塔は5年前と変わらない姿でまつられていました。また、庚申塔周囲の環境も、以前と変わらずきれいに整えられています。

 

小林幸弘氏が書かれた『国東半島の庚申塔総覧』P.20には以下のように、この庚申塔が紹介されています。

 

青面金剛刻像塔 134㎝

青面金剛(1-6) 2猿 2鶏

享保十三年戌申天

七月十一日:1728年

 

見事な頭髪の青面金剛は一面六臂で表情は優しく、塔身下部に刻まれた二猿の姿も動感が十分。全体に楽しげな印象を受ける。

 

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周囲の雑草はきれいにとりのぞかれている

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針のように逆立った髪が特徴的

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なんだか楽しげな二猿と二鶏

塔身のちょうど真ん中あたりで、折られたような痕がのこっています。明治期になったときに、一度は破壊されたのかもしれません。のちに修復されたようです。